上述したように競技そのものだけでなく、観客に「魅せる」ことも視野に入れられた競技部門では、ステージ上に実際の石垣のモデルを設置するとともに、プログラム上で落札した石が実際に補助員の手でそれぞれのチームに配布され、競技終了までに実際に組み上げるという趣向も凝らされた。もちろんプログラム上で完結できるものだが、それでは観客が楽しくないであろうという配慮からのものだ。観客にとってはより楽しめる競技内容になった一方で、選手たちからすると、リアルに組み立てる必要が生じるため、さらに大変な競技となる。無論、戦略が功を奏し、思い通りの石を手に入れることができても、組み上げることができなければそれはポイントとならない。
1度に8チーム前後が同時に参戦する同競技では、開始15分前に、石垣枠の形、出品される石の種類と数、入札回数、各入札で入札可能な最大数と落札可能な落札数(例えば10個入札可能だが、落札できるのは最大8個まで)がチームに伝えられる。この情報を基に戦略を練るのだ。また、履歴参照APIなども公開されるなど、現代的な試みも取り入れられた。
予選では57チームが8チーム程度のグループに分けられ、それぞれのグループで上位2チームが勝ち抜け、という流れで進められた。
思い通りの石が落札できたのか、勝利を確信しガッツポーズを見せるチーム、ほかのチームに邪魔されて石を落札できず、PCの再計算結果を祈るような目で見つめるチーム、石垣の組み立て中に「崩落」の憂き目にあってしまうチームとそれぞれの時間が無情に過ぎていった。
次々と予選が消化されていく中、会場がどよめいたのは沼津高専。同校は、FPGAの内部論理を用いてマイクロプロセッサの機能を実現、それを外部計算エンジンとして用いるという「これぞプロコン」といったアプローチで会場を沸かせた。残念ながら結果はふるわなかったものの、痛烈な印象を観客に残した。
7グループに分けて行われた予選が終了した時点で、各グループ上位2チーム、計14チームは準決勝に進むことが確定し、初日の競技を終えたが、ここで負けたチームも終わりではない。敗者復活戦として、10チームが準決勝に進むことができるためだ。どのチームも2日目に向けて眠れぬ夜を過ごしたようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.