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» 2007年10月13日 05時00分 UPDATE

高専プロコンリポート:今どきの高専生があこがれる「石垣工務店」に秘められたドラマ (1/3)

高専生にとっての大イベント、「高専プロコン」の季節がやってきた。記者が初めて目にした高専プロコンは、ドラマとロマンが詰まったアミューズメントパークだった。

[西尾泰三,ITmedia]

高専生の夢の舞台、「ロボコン」と「プロコン」

 高等専門学校、略して「高専」に通う学生にとって、「全国高等専門学校ロボットコンテスト」(高専ロボコン)と「全国高等専門学校プログラミングコンテスト」(高専プロコン)が2大情報処理技術系コンテストであることに異論を挟む方は多くない。

 どちらの知名度が高いかといえば、高専ロボコンに軍配が上がるかもしれない。高等専門学校連合会、NHK、NHKエンタープライズが主催していることもあり、NHKで放送されることがその大きな理由だが、それ以外でも、2003年には高専ロボコンを題材にした映画「ロボコン」が公開。長澤まさみの初主演映画でもある同作品を見て高専ロボコンを知った方もおられるだろう。

 ハードウェア(マシン)が大きな比重を占める高専ロボコンと好対照なのがソフトウェアが大きな比重を占める高専プロコンだ。といっても、両者の違いは近年、やや希薄化しつつある。高専ロボコンにおいてもソフトウェアは欠かせないものであることは言うまでもないが、高専プロコンにおいても近年、ハードウェア(言い換えるならセンサなどのデバイス群など)を用いたものが多くなってきている。また、放送されることを前提とし、幾分ショーの要素を含む高専ロボコンに対抗するように、高専プロコンもある時期からショー的な要素が強い競技部門を設けている。

津山市が震えた2日間

 そしてつい先日の10月6日から7日にかけて、岡山県津山市内の津山文化センターで1990年の第1回から数えて18回目となる高専プロコンが開催された。高専プロコンは文部科学省の「生涯学習フェスティバル」(まなびピア)の一環として開催されている関係で、毎年別の場所で開催される。約50年に1度のイベントがやってきたとあって、ホスト校となる津山高専はもちろん、市を巻き込んで同コンテストへの準備が進められていた。

 かつて津山城がそびえ立ち、現在は石垣がその名残を示す鶴山公園の隣で、課題、自由、競技の3部門に分かれ、全国57校96チームと、オープン参加の中国、ベトナムの4チームが出場。それぞれの部門で頂点を目指して知恵と技術を競い合った。このリポートは数回に分けて今回のプロコンを振り返る。

 まずは競技部門の様子からお届けしよう。

石垣工務店にもん絶する高専生たち

 競技部門は、独立行政法人国立高等専門学校機構の設置する国立学校計55校に、ベトナム国立大学ハノイ校、大連東軟情報学院を加えた計57チームがしのぎを削った。

 「天守閣 めざすアイデア 愛いっぱい」というキャッチコピーが付けられた本大会では、上述したようにかつて津山城が存在した土地柄を考慮した競技内容となっていた。

 「石垣工務店」と命名されたこの競技では、石垣の石に見立てたパズルのピースを、石垣の形に相当する枠に収め、いかに石垣を組み上げていくかを競う。競技では、ピースのことを石、枠のことを石垣枠と呼ぶ。

ゲームルール 左のような石垣枠に対し、右にあるような石をはめ込んでいくという内容

 一見テトリス風なこの競技には、もう1つ選手たちを悩ませる仕掛けが存在する。それが、石は落札で入手する、というルールである。1回の競技で4〜7回程度設けられた入札はクローズドオークション形式となっているため、ほかのチームがどういった入札をしたのかは開札後に知ることになる。ちなみに、落札に用いるポイントの単位は「TSUYAMA」とされていた。

 つまり、基本的な戦術としては、石垣枠を最も効率よく埋める石の組み合わせを導き出し、その組み合わせに必要な石を可能な限り低価格で落札、落札できた石で最も効率よく石垣を組み立てる方法を導き出す、というアルゴリズムで挑むことになる。

 なお、勝敗は次のような優先度で判定される。

  1. ゲームの終了時点で、石垣枠の空いている部分が少ない
  2. 石垣枠の上部の平坦部に抜けている部分が少ない
  3. 残っている通貨ポイントの多さ
  4. 使った石の数
  5. 獲得し使わなかった石が少ない
  6. いずれも同数の場合はじゃんけん

 優先度を考えるに、早い段階で面積の大きな石を落札し、設置面積を稼ぎつつ、後半はその間を埋める小さな石を落札する戦術が有効だが、当然ほかのチームも同じアルゴリズムであれば、バッティングして落札できず、その結果、設置面積を大幅に損なう可能性も生じる。また石垣上部を埋めることが優先度の2番目に来ているため、可能な限りそこは石をすき間なく配置したい。そうした線引きをどう考えるかが戦略上重要となるおもしろい競技内容に仕上がっていた。

 学生たちも分岐限定法を用いてすべての組み合わせを総当たりで行ったり、遺伝的アルゴリズムを用いて設置面積が多い遺伝子(組み合わせ)を導きだそうとアルゴリズムを考えるが、いずれにしても本来計算時間が膨大になる計算方法なため、計算量の削減に腐心していた。

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