企業運用から見る検索の今後次世代検索の行き先(1/2 ページ)

今後どのような検索ツールがユーザーに支持されるのか。企業内検索には、今後ユーザーの検索をより簡単にするヒントがちりばめられている。

» 2007年12月05日 12時00分 公開
[秋本尚吾(ファスト サーチ&トランスファ),ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「次世代検索の行き先」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


現在と次世代の「検索」

 今や検索は企業内の人同士、グループ企業同士、企業と顧客、そして企業とパートナーの間で使用される共通のものになり、検索はYahoo!やGoogleなどの検索から始まり、やがて企業内検索(エンタープライズサーチ)の導入に及んでいる。

 検索を最も利用するのは、CTOでなければIT部門でもない。検索を考える上で重要なことは、ユーザーは誰なのかという視点で検索を考えることだ。これまでのシステム構築はユーザーではなくコンテンツを起点に、その内容を踏まえてどのようなサービスが提供できるかを考えていた。だが、これからはユーザーは誰かという点を基に、有意義なサービスを提供できるか、コンテンツ自体がそのサービスに適しているかを十分に検討することが、検索の導入に成功をもたらす鍵となる。

 ここでは、検索を取り巻く現状から、企業内検索などで適用されている新たな検索機能を見ていく。

検索結果の絞り込み

 キーワード検索では、検索結果が多く出すぎて本当に欲しい情報にたどり着けないことが多い。キーワード検索なら問題にはならないが、企業内検索ではその考えは通用しない。求める情報にたどり着けないことは、ビジネス上の機会損失につながるからだ。

 そこで、検索結果を絞り込むという点に着目した機能が提供されている。例として、絞り込みのキーワードをユーザーに再入力させる方法がある。だが、これではユーザーが再度キーワードを考えなければならない。

 その作業を簡略化するのがナビゲーション機能だ。検索結果の画面に表示されたカテゴリー情報をクリックすると、特定カテゴリーの情報のみを絞り込む。カカクコムのWebサイトで「ソファ」を検索すると、ブラウザの左側に「カテゴリー」および「価格」で絞り込むためのボックスが表示される。

image カカクコムのWebサイト

 ただこの機能では、クリックしたカテゴリーの検索結果が1件も含まれていなかったり、それぞれのカテゴリーの検索結果件数を見ることができないといったことが起こる。

 新たな検索は、高度なナビゲーション機能を備えることでこの問題を解決する。カカクコムの例では、ナビゲーションに表示するカテゴリーや価格は、検索結果のそれぞれのコンテンツが持つカテゴリーおよび価格情報から生成し、検索結果に含まれないカテゴリーなどの情報は表示しない。

辞書適応場面の拡大

 これまでエンタープライズサーチの辞書といえば、日本語を正しく解析する形態素解析用の辞書や同義語を登録する辞書が主だった。次世代の検索では、検索する用途(人名・会社名・地名・年月日や企業内の製品名・製品番号)に応じて辞書を準備し、上述のナビゲーション機能と組み合わせて提供する。

 ここでは、ファスト サーチ&トランスファのエンタープライズサーチプラットフォーム「FAST ESP」を例に挙げる。下の図は、キーワードに「明石家さんま」と入力した際に、人名・会社名・日時・場所の情報を表示し、関連情報の「萩本欽一」を選択して、Wikipedia上の「BIG3」に関するコンテンツを表示したものだ。最初に入力したキーワードだけでは発見の難しいコンテンツも簡単に絞り込むことができる。

image 最初に入力したキーワードに関連したコンテンツを絞り込むことができる
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