オープンソースに恩返し――グリーCTO悩めるCTOの行く年来る年(1/2 ページ)

2007年はSNSの利用者が急増した。グリーは2006年12月にKDDIと提携し、携帯向けサイトがauの公式コンテンツになったことで会員数を伸ばした。グリーで最高技術責任者を務める藤本真樹氏に話を聞いた。

» 2007年12月25日 08時00分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 2007年はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用者が急増した。大手SNS「GREE」を運営するグリーは、2006年11月にKDDIと提携し、携帯向けサイトがauの公式コンテンツになった。会員の規模は当時の40万人から2007年3月には一気に100万人に達し、8月に200万人、12月に300万人と急拡大している。

 会員数の急増でシステムに障害などは発生しなかったのか。グリーで最高技術責任者(CTO)を務める藤本真樹氏に、成長の年となった2007年を振り返り、2008年の展望を話してもらった。

「仕事と趣味の境界線があいまいなので、正月は雑煮を食べながらソフトウェアの開発などをするかもしれない」と藤本氏

ITmedia CTOとして2007年を振り返るとどんな年でしたか?

藤本 この1年は過去われわれが体験したことのないほど会員数、ページビューが増加した年でした。対応するのはそれこそ悩ましい作業でした。ただし、前からシステムの拡張性を確保する準備は進めていたので、大きな問題は起きていません。

 Webサーバは増やすだけでパフォーマンスが上がるので比較的単純です。2006年末には数十台しかなかったWebサーバも、今は数百台に増設しています。手が掛かるのはデータベース(DB)のチューニングなどです。DBを綿密にパーティショニングしたり、会員のIDごとにデータを分けて管理するようにしたことで負荷を軽減しました。もしやっていなかったらGREEのサービスは停止していたでしょう。

 会員数が増えたことで、SNSへの書き込みの内容を監視しなくてはならなくなり、監視ツールの実装に追われました。例えば、個人の携帯電話の番号がSNSに書き込まれた場合などは、会員に警告を出します。24時間体制で監視しています。

2008年は長いスパンでシステムを考える

ITmedia 2008年はどんなことに取り組みますか?

藤本 現在は、日々のシステムの安定性確保など目の前のことにしか手が回らないのが実情です。2008年は長い目で見たシステム改善をしていきたいです。

 例えば、ソースコード全体のアーキテクチャーの見直しです。SNSのシステムの特徴は、足あととプロフィールなどサービス間が連携することです。サービスを縦割りに切って別々に開発できればいいですが、そうもいきません。新しいサービスが登場した際に、互いにソースコード上で絡み合うことになります。今のままの仕様では、今後新サービスが登場すると処理速度が落ちる恐れがあります。

 ソースコードはPHP4.0で書いています。これをPHP5.0にバージョンアップしたり、あるいは、RubyやJavaなどほかのプラットフォームを利用してシステムを改善できないか模索したいです。同様に、データベースとして使っているMySQL、WebサーバのApacheのほかに良いものがないかなども考えるつもりです。

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