IBMはSMB分野の顧客に2つの重要な提案をしている。エクストラネット用のSaaSシステムおよび一連のターンキー型サーバを提供するというのだ。
IBMは1月21日、フロリダ州オーランドで開催中の第15回年次「Lotusphere」カンファレンスにおいて、数百万社もの企業が存在するSMB(中堅・中小企業)市場向けのSaaS(Software as a Service)製品とサーバシリーズを発表した。
同社のSaaS製品は「Bluehouse」と呼ばれ、現在は限定β版として提供されている。このプラットフォームは、中堅・中小企業が組織の境界を越えてセキュアにコラボレートすることを容易にするエクストラネットサービスを提供する。企業ユーザーは、連絡先情報、ファイル、プロジェクト進行データなどを共有し、チャットやWeb会議を通じてコラボレートすることができる。
IBM Lotus Software部門のゼネラルマネジャー、マイク・ローディン氏によると、このソフトウェアはパスワードや電子メールを通じて簡単にアクセスすることができ、会社の壁で囲まれたSMBユーザーがパートナーとコラボレートすることを可能にするという。
ニューヨーク州アーモンクに本社を置くIBMでは、この製品の利用シナリオはまだ作成中だとしているが、ローディン氏のチームは、ユーザーがライブファイルやグラフを作成、発行し、それらをパートナーと共有できることを示すデモを行った。
IBMでは、Bluehouseをサポートする製品として「Lotus Foundations」を開発中だ。これはSMB市場をターゲットにしたLinuxベースの自社運用型ソフトウェアサーバシリーズで、IBMが1月18日に買収したNet Integration Technologiesのサーバ技術が基盤になっている。
Lotus Foundationsマシン/ソフトウェアは、製品が「自身を管理・修復する」ことを可能にするIBMの技術である「オートノミック」ツールを採用しており、運用には技術知識をほとんど必要としない。本格的なIT部門を抱えていない中堅・中小企業が、技術の管理に時間とリソースを費やさなくてもビジネスを運営できるようにするのが同製品の狙いだ。
先週のMacworldでAppleのスティーブ・ジョブズCEOが用いた演出を一部拝借したというローディン氏は、Lotus Foundationsシリーズの最初のデバイスであるノートPCサイズの「Lotus Collaboration Server」を封筒から取り出し、同製品の軽量かつコンパクトという特徴をアピールした。
このサーバには、メール/コラボレーションサーバのLotus Domino、ディレクトリサービス、ファイアウォール、ファイル管理ツール、バックアップ/リカバリツール、オフィスプロダクティビティツールが含まれる。Lotus Foundationsでは将来、システムインテグレーターや独立系ソフトウェアベンダー各社が、既存あるいは新規のアプリケーションをFoundationsプラットフォームに組み込めるようになるという。
IBMがBluehouseとFoundationsを投入する背景には、SMBユーザーも大企業と同じく、総合的なコラボレーション/ビジネスソフトウェアを必要としているという同社の認識がある。
これらの製品は、ローディン氏によると6400万社というSMB市場のユーザーベースにIBMが進出するとともに、Microsoftの人気コラボレーションソフトウェアスイートであるSharePointと市場シェアを競い合うのに貢献しそうだ。
コラボレーションというテーマを強調するローディン氏は、SAPとの提携も発表した。IBMとSAPの間で共通する数千社の顧客の要望に基づき、「Atlantic」のコードネームで開発される製品は、IBM Lotus NotesソフトウェアとSAP Business Suiteを連携し、ユーザーがLotus Notesのルック&フィールを備えたアプリケーションを作成することを可能にするというもの。
両社が2008年10〜12月期に販売開始を予定しているAtlanticの最初のリリースでは、Lotus NotesクライアントからSAP Business Suiteのリポーティング機能、分析機能、ロール機能などを利用することができる。
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