ある日、後輩のA君から電話があった。PC操作についてそこそこのスキルがあるA君は、めったなことではヘルプコールをかけてこない。今回の依頼内容は「フロッピーディスクが読み取れない」というものであった。いまどきフロッピーですか? と思ったが、何でも昔の顧客データを参照する必要があるらしい。何でも取っておくものである。もしかしたら私のMOも、日の目を見る時が来るかもしれない。
「古いフロッピードライブって、知らない間に壊れていることがあるんだよね……」と思いつつ、詳しく様子を聞く。マイ コンピュータのフロッピードライブをダブルクリックしても、「ディスクを挿入してください」というアラートが出るらしい。当然、メディアはドライブに入れた状態だという。一度取り出してみるように指示を出すが、「それが、取り出せないんです」とA君。
ドライブの中でフロッピーが引っ掛かったのだろうか? そういえば以前私も、フロッピーに貼ったシールがドライブの中ではがれて、大変な目にあったっけ。
電話の向こうであせるA君。物理的故障かどうか確かめるため、私は彼のデスクへ向かった。
彼のPCは、導入して半年ほどの新しいものだ。自然故障にはまだ早い。PCの画面にはマイ コンピュータのウィンドウが開いている。フロッピードライブはあるが、確かにメディアを認識できていないようだ。
とりあえずフロッピードライブからフロッピーを抜こうとする私。だけど、どうも違和感があるのよね。
私 「あれ? フロッピードライブのイジェクトボタンが飛び出してないみたい……」
振り返ってA君に聞く。「フロッピーは?」
A君 「だからドライブに入れたんです」
そう言いつつPCを指さすA君。その指先にあるのは――いわゆるCD-Rドライブだった。
私 「マジ?」
彼はフロッピードライブとCD-Rドライブを間違えていたのだ。そのドライブは、最近のゲーム機のような、スロットローディング方式でトレイの出てこないタイプである。あろうことかA君は、そこにフロッピーディスクを差し込んでいたのだ。
私 「こんなことがあるのか……、こんな間違いが……」
しかし事実、目の前で起きている。
何でもA君は、フロッピーディスク使った経験がないらしい。そこで「目に映った」ドライブにフロッピーを突っ込んだらしい。
それにしたって、普通では考えられないような間違え方だ。本人以上に私が驚いた。
私 「よく入ったなあ」
いや、感心している場合ではない。とりあえず取り出そう。もちろんドライブごと。
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