免許証の“アイツ”も呼びかける――情報セキュリティ月間がスタート

2月の「情報セキュリティ月間」に合わせて、啓発活動に取り組む情報セキュリティ対策推進協議コミュニティが始動した。今年は、免許証の写真で一世を風靡(ふうび)した「アイツ」も参加する。

» 2008年01月31日 20時49分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 政府は、国民の情報セキュリティ意識の向上や強化を目的に、2月2日を「情報セキュリティの日」と定めている。2月は「情報セキュリティ強化月間」として、政府機関や企業、自治体がさまざまな情報セキュリティの啓発活動を展開する予定だ。

 これらの活動を支援する「情報セキュリティ対策推進協議コミュニティ」は1月31日、今年の活動内容を発表した。同コミュニティは、ISPやセキュリティベンダーのほか、建設や運輸、保険など15の企業や団体で運営され、政府の情報セキュリティ政策会議、総務省、経済産業省などが後援する。

対策技術ばかりが叫ばれる情報セキュリティだが、「モラルや意識の観点でも捉えて“文化”として定着させる時期に来ている」と各氏

 事務局長の高橋正和氏(マイクロソフトチーフセキュリティアドバイザー)は、活動方針について「対策の複雑化、インターネット利用者の広がり、セキュリティ意識が浸透しないといった課題があり、組織を跨いだ横断的な活動や“文化”としてセキュリティを考えていくことが重要だと考えている。企業やコンシューマーの理解を深める活動を展開したい」と話した。

 同コミュニティーは、期間中に全国各地で行われる啓発活動を紹介する公式ホームページを開設する。紹介を希望する企業や団体は、ホームページで活動の内容やイベント開催日などの情報を登録して、取り組みを閲覧者に告知できる。また、情報セキュリティ活動の参加証明書をロゴとして、自社の活動に利用できる。2007年の活動では73の企業・団体から登録があったが、今年は101の企業・団体がすでに登録を完了している。

 来賓として登壇した内閣官房情報セキュリティセンターの川野真稔参事官補佐は、「世界的に関心が高まっている環境問題のように、情報セキュリティへの関心が高まるようにメッセージを発信していきたい」と挨拶した。また、事務局の構成企業を代表してマイクロソフトのダレン・ヒューストン社長、NECビッグローブの飯塚久夫社長、大成建設の木内里美理事が祝辞を寄せた。

無防備PCは4分でボットに感染

 ゲストとして登壇した日本データ通信協会テレコム・アイザック推進協議会の有村浩一氏は、セキュリティの脅威について最近の傾向を紹介した。

ボットの脅威

 同氏によれば、2000年以降はウイルスやトロイの木馬に代表される拡散型の脅威が流行し、ウイルス制作者が自己顕示欲を示す愉快犯的な脅威が目立った。たが、近年は金銭を狙う営利犯罪が主流となり、PCを乗っ取って、情報収集や攻撃、スパム拡散など複数の不正プログラムを実行するボットの脅威が急速に広がっている。

 「無防備のPCをインターネットに接続すればわずか4分でボットに感染する。インターネット上のプログラムの80%がボットともいわれ、PCをきちんと管理していく取り組みが重要だ」と述べた。

「情報セキュリティをなめんなよ!」と冗談のようなメッセージでなめねこが選ばれた。「なめねこ世代は社会的責任を担う立場の方が多く、リバイバルブームで子供たちにも浸透している」と高橋事務局長は話す

 今年の同コミュニティーのイメージキャラクターには、1980年代にユーモラスな格好で人気を集めた「なめねこ」が起用された。なめねこの著作権者である津田覚氏は、「子供が不正サイトを利用しないよう“インターネットは使ってはいけない”という大人は多い。だが、子供は“いけない”』といわれるほど使いたがるので、使ってはいけない理由を説明できるよう、きちんとした知識を大人が持つことが大事」と話した。

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