力武健次――在野の孔明、問題解決の彼岸にみたプログラムの本質New Generation Chronicle(7/8 ページ)

» 2008年02月06日 04時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

今のGoogleの姿は、かつてのDECに似た雰囲気が

Q74 頭の中で空想し得ることは、すべてソフトウェアでいつかは実現可能だと思っている?

与えられた時間が無限ならそりゃ実現するでしょう。でも時間が有限に区切られているならば、必ず不確実性(不確定性かな?)が発生します。だから、すべて、ってのは無理。ただし、手順を記述することを「ソフトウェア」とするのであれば、それは書き得るだろうと思います。

Q76 在宅勤務とかしてみたいですか?

この問題についてはわたしの過去の著書『プロフェッショナル インターネット』(オーム社、1998)を読んでください。日本でテレワークがなぜいまだに異質なものとみられるのか、わたしには社会的な因習、つまり本質的でない単なるしきたり以外の合理的な理由がまったく思い浮かびません

Q77 会社の開発環境には満足していますか? どういうものがあれば快適ですか?

瑣末なドキュメンテーションから研究者を解放してくれる人たちと、彼らに仕事をしてもらうための予算が欲しいですね。

Q81 女性プログラマーってどうですか?

優れた人たちは多数いると思いますし、現に一緒に仕事もしています。ただし、日本のコンピュータの世界は、まだまだオトコ世界であって、女性が働きやすい環境とはいえません。ですから、もっと女性に働いてもらえるような仕事にしていかなくてはいけないと思います。

 研究開発という分野に限れば、戦争の前線でドンパチやっている感覚があって、女性には入りにくいかもしれないな、と思うことはあります。もっとも、第二次大戦で米軍は国内の輸送隊に女性パイロットを大量に動員しましたし、プログラミングは社会基盤を作る仕事でもありますから、女性の方が適性が高いであろうと思う分野はプログラミングの世界にもたくさんあると思います。COBOLの普及に尽力した米国海軍のRear Admiral(海軍少将)だったグレース・マレー・ホッパー女史の例を見るまでもなく。

Q82 よいプログラマーの条件を3つ挙げてください。

正確な仕事をすること。嘘をつかないこと。納期を守ること。

Q83 悪い/使えないプログラマーの条件を3つ挙げてください。

依頼主の要求を論理的に反すうできないまま拒否すること。特定のプログラミング言語や環境にこだわりほかの世界に行こうとしないこと。健康管理ができていないこと。

Q84 プログラマーの35歳定年説をどう思いますか?

馬力で書けるのは35歳までかもしれない。でも、わたし自身が研究者の生活をスタートしようと決めたのは36歳でした。そのときからのコードは、確かに諸条件があってコードそのものはフリーなものにできていないけれど、その代わり学術論文として公開できるアイデアを検証するための真に実用的なものになったと思っています。35歳までに自分の基本的なスキルを勉強できてなかった人は、35歳で辞めさせられても仕方ないかもしれない

Q86 ぶっちゃけた話、今Googleから誘われたら転職しますか?

しません。たぶん労働条件が合わないと思うので。今のGoogleの姿は、かつての Digital Equipment Corporationに似た雰囲気があります。気をつけないとコケるかもしれない

Q87 頭の中のぼんやりとしたイメージはどうすればコードに落とし込めるのでしょうか

実際にプログラムしてコードにしながら手直ししていく以外に方法はありません。文章にもしてみますけどね。ただ、文章の方がよりぼんやりしている度合いが高いかもしれない。動かして、はじめて正しいかどうかが分かります。でも、検証の方法はしっかり文章化しておかないと、何をやっているか分からなくなることが多々あります。

Q88 プログラマーとしての自分を100点満点で評価してください。

エンジニアとしては70点ぐらいだろうけど、プログラマーとしては55点がいいところなんじゃないかなあ。何しろ、最初からコードをガリガリ書くのをしんどいと思っているようでは……。そういう意味では、まったくの失格者ですね。

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