今回は、GoogleとSalesforce.comが4月14日に発表した新サービス「Salesforce for Google Apps」に見たITシステムの利用形態の変化について考えてみたい。SaaSの活用は企業システムでは限定的ととらえられがちだが、着実にその範囲は広がりつつある。それはクラウドコンピューティングへのパラダイムシフトを意味する。
昨今、企業にとってITシステムは、「所有」するものではなく「利用」するものになりつつあるとよく言われるが、そうしたITシステムの利用形態の変化を象徴する新サービスが先週、発表された。GoogleとSalesforce.comが協業拡大して提供を始めた「Salesforce for Google Apps」がそれだ。
Googleのオフィスアプリケーション(電子メール、カレンダー、ドキュメント管理、スプレッドシート、プレゼンテーション、インスタントメッセージ)である「Google Apps」と、Salesforce.comのCRMソフト「Salesforce」を統合したもので、Salesforceユーザーであれば無償で利用できる。
米国での両社の発表を受けて、Salesforce.comの日本法人であるセールスフォース・ドットコムが4月17日に行った記者会見では、来日したSalesforce.comのジョージ・フー エグゼクティブバイスプレジデントが新サービスのユーザーメリットをこう説明した。
「補完関係にある両社のアプリケーションを一元化された環境で利用できるため、さまざまな業務処理をより効率化し、生産性を高めることができる。また、ハード・ソフトインフラの管理に伴うコストや手間が一切不要で、ユーザーがクラウドコンピューティングを利用するための最適なソリューションとなっている」
また、フー氏とともに会見に臨んだセールスフォース・ドットコムの宇陀栄次社長も、「新サービスは両社のアプリケーションがシームレスに連携しているので、顧客とのやりとりをはじめとして重要な情報とそうでない情報を区別しながら一元管理することができる。これにより、コンプライアンスの強化などに向けた情報管理を徹底して行える」と強調した。
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