2008年度の携帯電話市場は9.2%減の予測――MM総研調べ

MM総研によると、携帯電話端末の国内出荷台数は、前年度比2.9%増の5076万台で過去最高を記録したが、08年度は9.2%減少するという。

» 2008年04月29日 08時00分 公開
[ITmedia]

 MM総研は4月23日、07年度通期(07年4月〜08年3月)について、国内携帯電話の出荷状況に関する調査結果を発表した。総出荷台数は、前年度比2.9%増の5076万台で、総出荷台数としては03年度の5009万台を抜いて過去最高を記録した。だが、08年度は9.2%減少するとしている。

 出荷台数はシャープが過去最高となる1276万台(前年度比23.0%増)を記録。2位は昨年同様パナソニックモバイルコミュニケーションズで、出荷台数は738万台(31.6%増)だった。3位の富士通は昨年度5位から順位を2つ上げた。以下、4位は東芝、5位はNEC、6位はソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの順となった。

 08年度の出荷台数は前年度比9.2%減の4610万台と予測。新販売方式の影響を含めた買い替えサイクル長期化や、より本格的な端末価格の高騰が起こると想定している。割引や割賦販売による実質2年間契約によってキャリア間の流出入も減少し、買い替え需要が減少すると予測できるという。

 プラス要因として、キャリアの割引サービスや営業強化による法人市場のさらなる拡大が見込まれる点を挙げた。だが、全体としての減少は免れないとしている。また、携帯電話の総契約数は、08年3月末の1億272万件から09年3月末には1億760万件まで拡大、08年度の新規純増数は488万件と予測した。

携帯電話端末の出荷台数の推移と予測(同社Webページより)

 MM総研はリリース文で、新販売方式導入後も端末販売価格のインセンティブは依然として安く抑えられ、端末価格と基本料金の分離が本当の意味でなされている販売台数は限られるとしている。今後も端末価格を安くすれば、端末市場の規模はある程度維持され、総契約数も伸び続けることが想定されるという。

 一方、過度な価格競争はキャリアの体力を奪ってしまうため、ネットワークインフラやサービス発展の妨げにつながる危険性があるという。また、端末市場の縮小はメーカーの企業体力を奪い、競争力のある端末を開発することができなくなるという悪循環を誘発する危険性もあるとしている。

 そうした背景の中で、さらなる市場の発展のためには、より魅力的な端末やサービスによって競争力を強化する必要がある。場合によっては、端末および基本料金を含めた料金体系を再び見直すといった選択肢もあるという。キャリアやメーカーは短期的な市場競争だけでなく、中長期的な事業戦略を見据えた難しい課題が課せられていると問題を提起した。

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