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» 2008年06月18日 17時24分 UPDATE

HITACHI Open Middleware World 2008 Report:グリーンITの決め手は運用管理

グリーンITを実現するには、省電力のハードウェアに買い換える前に、使い方そのものを工夫することで多くの部分が改善されるという。

[柿沼雄一郎,ITmedia]

 6月17日、東京・渋谷区の青山ダイヤモンドホールにおいて、日立製作所が最新のITソリューションを紹介する「HITACHI Open Middleware World 2008」が開幕した。ITの構築や運用にまつわる同社のさまざまなソリューションおよび事例が紹介されるイベントで、18日までの全2日の日程となる。初日となる17日は、システム運用管理ツールである「JP1」にフォーカスしたセミナーおよび展示が行われ、18日はシステム構築基盤である「Cosminexus」がフィーチャーされる。

 2008年3月に最新の「V8.5」が発表されたJP1では、主に内部統制とグリーンITに関する支援機能が備わり、現代の企業がまさに直面しているこの2つの課題を解決するシナリオが用意されている。このうち、グリーンIT支援についての諸機能を見てみよう。

 昨今声高に叫ばれている「グリーンIT」は、全世界規模でIT企業が取り組むべき問題となっている。日立の中村孝男ソフトウェア事業部長も、「環境問題への対応は企業としての社会責任」として、JP1 V8.5の機能にグリーンIT対応を盛り込み、社内呼称の「環境適合製品」として位置づけているという。こうした状況を受け、本イベントの幕開けとなる特別講演でも、経済産業省から星野岳穂参事官が招かれ、グリーンITが唱えられた背景からその実現に向けた政策までが語られた。

 2008年から2012年までの温室効果ガスの排出削減を定めた京都議定書後の国際的枠組みを創出すべく、さらなるCO2削減の取り組みが進められている。福田総理は、2020年までに全世界で30%のエネルギー効率を改善するため、100億ドル規模の資金援助と300億ドルの研究開発資金を投入すると提言している。星野氏によると、これを受けた経済産業省は研究開発を行う21分野の革新技術を決め、IT関連の分野についても研究を進める計画であるという。

 星野氏は、従来省エネが進まなかった分野が業務および家庭であり、ここのエネルギー消費削減を最大努力した結果、2030年までに最大で13%のCO2排出削減(2005年比)が可能だとする予測を提示。その鍵を握るのが、グリーンITだという。

星野氏 経済産業省 星野岳穂参事官

 グリーンIT活発化の背景には、社会の情報化に伴うデータ量と消費電力の爆発的増加がある。2025年までに、インターネットで流通する情報量は現在の200倍に達し、国内のIT機器が消費する電力も現在の5倍となる見通だ。

 特にパワーエレクトロニクスと呼ばれるデータセンターの電力消費は大きく、将来ハードウェアのコストよりも電力コストのほうが上回る(Intel CEO ジャスティン・ラトナー氏)という予測も立っているほどだ。

 このような状況の中、従来のグリーンITでは、消費電力などIT機器の省エネに主眼を置いた議論がなされてきた。星野氏はこれを、日本の優れた技術をもって「ITの省エネ」および「ITによる省エネ」という双方で推し進めていきたいと提言する。こうした2本立てのグリーンITを推進すると、ITによる省エネ量がIT機器の消費電力よりも上回る試算となり、「グリーンITには未知のビジネスチャンスがある」との確信を得たと星野氏。

 では、グリーンITの推進にはどのような手法が効果的なのか。星野氏は、ハードウェアの効率化もさることながら、ソフトウェアや運用手法による効率化のほうがポテンシャルがあると指摘する。日立 ソフトウェア事業部の石井武夫部長も、「データセンター改造などの大規模な施策よりも、むしろ使い方の見直しでグリーンITは進めることができる」とする。

石井氏 日立 ソフトウェア事業部 JP1マーケティング部 部長 石井武夫氏

 石井氏は、JP1 V8.5の強化ポイントがまさにここにあると説明を始める。「グリーンITは、個人レベルでも推し進めることができるが、それには限界がある。そこで、運用管理で広範にサポートしていくことで改善が図られる」として、JP1に備わる幾つかのグリーンIT対応機能を紹介。社内における省電力対応PCの導入率および使用状況のレポートや、一定の時間が来ると電源を落としたり省電力設定のポリシーを適用するPC電源管理などにより、評価モデルで51%のCO2削減効果が見られたことをあげた。

 データセンターにおけるシナリオもある。ジョブマネジメントを行うJP1/AJS2との連携では、ジョブの終了を待って電源を落とすなどの制御が可能、また業務量に応じてサーバを構成変更して稼働台数を削減したり、温度センサーによる熱温度異常のイベント監視といった機能が説明された。

 仮想化もグリーンITに寄与する要素の1つだが、運用管理が前にも増して煩雑になるのでは? という疑問にも石井氏は答える。「業務とサーバ(物理および仮想)をきちんとマッピングし、構成把握とインパクト管理をしておくことで、障害時に部位の特定と業務への影響確認が瞬時に行え、素早い対策が可能となる」と説明する。さらに2008年秋には、仮想化環境での性能監視によって、リソース配置やチューニングなどの支援ができるようになるという。

 石井氏は今後の予定として、「IT運用で企業価値を高めていく支援として、さらにJP1を進化させていく。来年には次世代JP1を計画している」と展望で締めくくった。

om03.jpg 18日の「Cosminexus Day」も大盛況で、展示会も多くの人々でにぎわった

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