大地震の発生に備え、安否確認システムの導入が進みそうだ。BCPやCSRの観点で、企業は災害に対する危機管理をどのように徹底するかを問われている。
日本は大地震の災害に遭う危険と常に隣り合わせだ。こうした災害に備え、社員や家族、現地の状況をリアルタイムに把握できる安否確認システムの導入が加速しそうだ。
警備大手セコム関連会社のセコムトラストシステムズが提供する「セコム安否確認サービス」は6月時点で約1200社が契約しており、サービスは約130万人が登録している。このサービスは、震度5弱以上の地震が発生した地域に住んでいる人の携帯電話やPCのメールアドレスに、安否確認の電子メールを自動で送信するものだ。
同社によると、岩手・宮城内陸地震発生後には通常の3倍以上の新規問い合わせがあったほか、「電話では安否確認ができない」という理由で、サービスの導入を踏みとどまっていた企業からの受注が増えたという。
導入企業からは、地震発生の直後は電話や災害伝言ダイヤルがつながらなくなったこともあり、インターネットや携帯電話のメールを使って安否をリアルタイムに確認できるサービスの導入が役に立ったという声が届いている。
安否確認システムを提供するテラ・ブレインズでも、「6月14日の土曜日に地震が発生してから1日で、同サービスへの問い合わせが通常の倍に増えた」。同社は、東京に本社をかまえ、全国に拠点を持つ大手企業を中心にサービスの導入が進んでいると説明する。
「CSR(企業の社会的責任)の観点で、取引先、下請けの企業にも危機管理を徹底してもらいたいと考える企業も増えている。安否確認サービスはより普及するのではないか」とテラ・ブレインズは予測する。
セコムトラストシステムズによると、BCP(事業継続計画)への関心から、業種・業態・地域を問わずサービスの導入が進んでいるという。自社の安否確認に加え、提携先や取引先の被災状況を把握したいとの要望も挙がっている。特に大企業の場合、1次取引先だけでなく2次、3次取引先の安否確認が必要となるからだ。
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