個人情報の漏えい人数はUSBメモリが実質最多――JNSA報告書低価格・大容量化が原因に

日本ネットワークセキュリティ協会の「情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によれば、USBメモリの紛失などによる個人情報の漏えいが増加している。

» 2008年06月30日 15時19分 公開
[ITmedia]

 日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)がこのほど公開した「2007年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によれば、流失した個人情報の人数は、USBメモリなどの可搬記録媒体からのものが実質最多であることが明らかになった。

 それによると、情報漏えいの原因となった媒体・経路別の割合は「紙媒体」が40.4%、「Web・Net」が15.4%、「USBなど可搬記録媒体」が12.5%となった。USBなどの可搬記録媒体が占める割合は、2006年度の8.5%から増加した。

漏えい媒体・経路比率(件数)[出展:2007年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告書]

 個人情報の流失人数別では、紙媒体が約1695万人(55.5%)、USBなど可搬記録媒体が約1181万人(38.7%)、PC本体が79万人(2.6%)となった。しかし、紙媒体では1443万人分の個人情報が流失した大規模事件の影響があり、実質的にはUSBなどの可搬記録媒体から流失人数が最多になるという。漏えい1件当たりの平均流失人数では、USBなどの可搬記録媒体が10万9000人、紙媒体が4万9000人、PCが8000人となった。

漏えい媒体・経路別の一件当たりの漏えい人数[出展:2007年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告書]

 JNSAでは、USBメモリなど可搬記録媒体の低価格化、大容量化が進んだことで、社外へ容易に持ち出せる情報量や利用者が増加しているものの、媒体の取り扱いや管理体制が不十分なことが影響していると分析する。

 漏えい原因では、「紛失・置き忘れ(20.5%)」が最も多く、廃棄ミスなどの「管理ミス(20.4%)」、電子メールなどの「誤操作(18.5%)」が続いた。管理ミスは前年度の8.3%から急増している。

 漏えい原因別にみた個人情報の流失人数は、管理ミスが約1956万人(64.1%)で前年度の35万人から急増。2位は「内部犯罪・内部不正行為」で約864万人(28.3%)となった。

漏えい原因比率(人数)[出展:2007年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告書]

 管理ミスの増加は、上記の1443万人分の個人情報が流失した大規模事件の影響があるものの、JNSAではコンプライアンスや内部統制などに基づいて情報管理体制を強化していく過程で、個人情報が記された書類などの誤廃棄、紛失が目立ったと分析している。

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