ブレード市場は今後も成長の見通し――だが未解決の問題も最も活気のある分野

Gartnerの調査によると、ブレードサーバは今後も、サーバ市場で最も成長著しい分野になる見込みだ。HPとIBMにとっては朗報だ。しかしメーカー独自のブレードアーキテクチャ、そしてI/O標準の開発が難行していることなどが、ITマネジャーにとって主要な懸念材料であることには変わりはなさそうだ。

» 2008年08月05日 10時00分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 ブレードサーバは向こう4〜5年間にわたり、サーバ市場の成長を牽引する見込みだが、統一的な標準の欠如、そしてブレードで採用されているプロプライエタリなアーキテクチャという問題は残されたままだ。

 調査会社Gartnerが7月31日に公表したブレード市場の調査結果によると、ブレードの重要性とメリットは今後も増大する見込みだが、検討すべき深刻な問題もあるとしている。

 ブレードをめぐる問題点の1つは、すべての主要ベンダー(HP、IBM、Dell、Sun Microsystems)がプロプライエタリなアーキテクチャを採用しているため、ブレード技術をベースとした異種混在環境のデータセンターを構築することが不可能に近いことだ。

 また、統一的な標準が存在しないという問題もある。例えば、ブレードには共通のインタフェースが存在しないため、CiscoやBrocadeなどのベンダーは各社のエンクロージャに合わせて異なるSAN(Storage Area Network)およびネットワークスイッチを開発しなければならない。

 Gartnerのアナリスト、ジョン・エンク氏は「今日、IT部門がブレードを購入する場合、ブレードはどうあるべきかに関して特定のベンダーのビジョンを受け入れるという戦略的な決定をしなければならない」と話す。

 幾つかの深刻な問題を抱えながらも、ブレードは依然としてサーバ市場で最も活気のある分野である。Gartnerでは、2007〜2012年の間にブレードサーバの出荷数量は年率19%のペースで増加すると予測している。2007年の時点でブレードは全世界のサーバ出荷台数の10%を占めていたが、2012年にはこの数字が20%に増加する見込みだ。

 「この5年間の予測が正しいとしても、伝統的なラックマウント型サーバは依然として市場全体の約60%を占めることになる」とエンク氏は指摘する。

 現時点では、HPとIBMがブレード市場を支配しており、両社を合わせると全世界の総出荷台数の約75%に達する。エンク氏によると、ブレードの人気が高まった理由の1つは、HPとIBMがここ数年、伝統的なラックマウント型サーバよりもブレードシステムのマーケティングと販売に力を入れたからだという。

 Gartnerによると、ブレード市場にはさまざまな変化が訪れようとしており、その結果、ブレードに対するIT部門の考え方、そしてデータセンターインフラ内にブレードシステムを配備する方法も変わり始めるという。2010〜2012年の間に起きると予想されるこういった変化の1つが、ブレードサーバの集約である。これは、2台のブレードを論理的に結合して1つの論理サーバを作成するというもの。

 そのほかにも、I/Oコネクションの改善(10ギガビットイーサネット、InfiniBandなど)やI/Oコントロールの改善などの変化が予想される。さらにGartnerでは、ハイパーバイザーをハードウェアそのものに組み込むなど、ベンダー各社がブレードに関連した仮想化オプションを充実させると予想している。

 実現するのが3〜5年先になるであろう重要な改善の1つに、エンクロージャの相互接続がある。これは、リソースの共有を可能にし、ブレード市場のプロプライエタリ性を緩和するものと期待される。

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