クラウド対応型セキュリティの核心Weekly Memo(1/2 ページ)

トレンドマイクロが8月20日に発表した企業向け不正プログラム対策ソリューションは、今後のクラウド対応型セキュリティのあり方を示唆したものだ。その核心とは――。

» 2008年08月25日 09時26分 公開
[松岡功ITmedia]

ラボと連動した新ソリューションが登場

 「トレンドマイクロはこれまで、販売代理店を通じて製品提供することを生業としてきた。それに対し今回の新ソリューションは、当社に蓄積されたナレッジを活用して、企業がより高度なセキュリティ対策を講じることのできる仕組みを用意した。企業全体の取り組みなので、情報システム部門のみならず、経営トップにも積極的にアピールしていきたい」

 トレンドマイクロの大三川彰彦取締役は、8月20日に開いた記者会見でこう強調した。

 同社がこの日発表した新ソリューションは、企業に侵入した不正プログラムを検知し排除する「Trend Micro Threat Management Solution」。企業のネットワークを常時監視することにより、疑わしい挙動をとらえ、その中から潜在的な脅威を可視化。さらに、各コンピュータで記録するプログラムの動作を追跡調査することで、パターンファイル対応前の新種の不正プログラムを検出して削除することができる。監視状況や処理結果は、同社の研究機関であるリージョナルトレンドラボのエンジニアがリポートする仕組みとなっている。

 同社によると、これまでの不正プログラム対策は、被害や現象の発生後、セキュリティベンダーが対策を準備するための検体を入手する必要があった。しかし、昨今の不正プログラムは、その膨大な発生数や活動の見えにくさから、そもそも検体入手が困難な場合がある。新しい脅威に迅速に対抗するためには、脅威の発生をいち早く検知し、被害の拡散を抑えるための処理を提供していく必要があるという。そうした新たな脅威への対策を実現するのが、今回の新ソリューションである。

 新ソリューションでは具体的に、疑わしい挙動の分析による不正プログラムの特定とリポートの提供を行う「Trend Micro Threat Discovery Suite」と、感染活動の追跡調査による原因分析と復旧処理を行う「Trend Micro Threat Mitigation Suite」という2つのサービスパッケージを用意。これらを組み合わせることで、企業ネットワークの潜在的な不正プログラムの検知と感染コンピュータの復旧、感染原因の分析が行えるようになる。また同社では、パターンファイルを用いて確実に既知の不正プログラムを検出・削除する従来のウイルス対策製品とは、相互補完的な役割を果たすソリューションだと説明している。

トレンドマイクロ 記者会見で新ソリューションを説明するトレンドマイクロの大三川彰彦取締役 日本担当兼グローバルサービスビジネスジェネラルマネージャ兼グローバルコンシューマビジネスジェネラルマネージャ

 さらに詳しい内容については関連記事をご覧いただくとして、筆者が最も注目したのは、新ソリューションのサービス形態が、クラウドコンピューティングへの対応を強く意識したものであることだ。はたしてその核心とは何か。

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