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» 2008年09月02日 08時33分 UPDATE

アナリストの視点:デジタルサイネージが広告ビジネス・セールスプロモーション戦略に変革をもたらす (1/2)

ICTの分野で、昨年から今年にかけて注目度が急上昇している分野がある。それは「デジタルサイネージ」といわれる分野である。ここ数年、薄型テレビなどを用いた看板を街中で目にする機会が増えたと、多くの方が感じているのではないだろうか。

[河上真一(矢野経済研究所),ITmedia]

 ICTの分野で、昨年から今年にかけて注目度が急上昇している分野がある。それは「デジタルサイネージ」といわれる分野である。ここ数年、薄型テレビなどを用いた看板を街中で目にする機会が増えたと、多くの方が感じているのではないだろうか。

デジタルサイネージとは

 一般の人が目にする最も代表的な例としては、首都圏ではJR山手線・JR京浜東北線・JR中央線の車両内にある、液晶テレビを使用した『トレインチャンネル』、関西地方ではJR京都線・JR神戸線・JR宝塚線の車両内にある、液晶テレビを使用した『WESTビジョン』が「デジタルサイネージ」にあたる。

 「デジタルサイネージ」を端的に言うと電光掲示板や電子看板の総称であるともいえるが、もう少し文字で表現するならば「屋外や店頭、交通機関など、一般家庭以外の場所において、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するもの」のことであるといえる。

 この定義からも分かるように、デジタルサイネージという言葉は非常に広範囲をカバーしているといえよう。つまり、上述の『トレインチャンネル』『WESTビジョン』など以外にも、「新幹線の車両内にあるLEDを用いた情報表示板」や「陳列棚に取り付けられるような“小型”の電子POP」から「ビルの外壁などにある“大型”の屋外ビジョン」まで含まれるのである。

 しかし、ビジネスの実態に照らし合わせて考えると、文字表示板や電子POPのような1台あたり数千円の端末と、ビルの外壁などにある1台あたり数億円のものには大きな隔たりがあるといえる。

 そこで、ここでは近年の「薄型テレビやネットワーク配信」の低価格化や技術進歩を背景に注目を集めている「“小型”と“大型”の間に位置するディスプレイ(主にLCDやPDP)を表示機器とするデジタルサイネージの国内市場」について解説することとしたい。以下、「デジタルサイネージ」という言葉はこれらを指すこととする。

百花繚乱、幅広いビジネスチャンス

 デジタルサイネージビジネスはハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、システム開発、広告媒体、コンテンツ制作など、多岐の分野にわたっている。現状では1社で複数の分野をカバーしている企業が多いが、その対応ビジネス分野は各社各様である。

 また、広告以外にもデジタルサイネージは、教育ツール、インフォメーションディスプレイなど、使い方によって多くの可能性を秘めている。しかし、現状では国内での媒体としての標準化は遅れているのが実態である。

 そして、さまざまな技術の進歩とともに、ハードウェア・設置場所・コンテンツ・システム・ビジネスルールなどの早急な整備が求められており、今後も参入各社のそれぞれの積極的なPull対策と、デジタルサイネージコンソーシアムなど業界を挙げたPush対策が必要不可欠な状況である。

市場規模は2010年には500億円を突破

 こういった状況にあるデジタルサイネージ市場であるが、今回矢野経済研究所では、国内デジタルサイネージシステムベンダー、運営企業、コンテンツ制作企業等の参入企業21社に対し、下図のような区分けで調査を実施した。ただし、コンテンツの配信・運営については「大型」でも同じ配信ソフトを使用しているため、当該市場に含んでいる。

ITmedia_yano_DS1.jpg デジタルサイネージの範囲

 2007年度の国内デジタルサイネージ市場規模は、設置拠点の増加に伴うハードウェアの売上伸張が大きく影響し、前年度比124.2%の296億7500万円となった。特に、広告媒体としては、ジェイアール東日本企画の『トレインチャンネル』の急成長が目立っている。

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