IBM Power Systemsにミッドレンジモデル、仮想化および管理機能強化でHPやSunに対抗

IBMはSystem iとSystem pを統合したPower Systemsシリーズを強化し、エンタープライズおよびミッドマーケットの顧客に新しい選択肢を提供する。

» 2008年10月09日 16時46分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
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 IBMはSystem iとSystem pを統合したPower Systemsシリーズを強化し、エンタープライズおよびミッドマーケットの顧客に新しい選択肢を提供する。IBM Power Architectureをベースとするプロセッサ構成を増強するとともに、仮想化機能を刷新。UNIX市場でHewlett-PackardやSun Microsystemsと真っ向から競合する。

 IBMはPower Architectureベースのプロセッシングコアを増強し、新しい管理機能と仮想化機能を搭載した新しいPower Systemsで、UNIX市場向けサーバ製品ラインの拡充を図る。

 IBM Power Systemsは今年4月、従来のIBM System iとSystem pを1つの製品ラインに統合する新シリーズとして発表された。これらのシステムの統合により、IBMは大企業や中堅企業向けに、AIX(IBMバージョンのUNIX)だけでなく、LinuxやIBM i (旧:i5/OS)でも稼働する一連の製品を供給することが可能になった。

 UNIX市場はx86プロセッサベースのサーバ市場と比較すればいくぶん活気に欠けるが、それでも IBM、Hewlett-Packard、Sun Microsystemsの主要OEMメーカーにとって重要な市場であることに変わりない。Gartnerによると、2008年第2四半期のUNIXサーバの出荷量は台数ベースで減少したものの、売上高は全世界で前年同期比約10%増の42億ドルに上った。またUNIXプラットフォームを大企業だけでなく、ミッドマーケットや中小企業にもプッシュしてきたIBMの売上高は、前年同期比29%増の15億ドルだった。

 製品ラインに統合することで、IBMはUNIX市場におけるポジションをいっそう確固たるものにしたい考えだ。また、2007年に販売が落ち込んだSystem iによる損失を好調なSystem pでカバーする狙いもある。

 Pund-IT Researchのアナリスト、チャールズ・キング氏によると、IBMはPower Systemsを統合プラットフォームとして位置づけ、x86サーバを1つのシステムに統合したいと望むミッドマーケット企業に積極的に売り込もうとしている。しかし、もともとLinuxを採用している企業であれば、Power Systemsへの移行にもメリットを見出せるが、Microsoft Windowsで標準化した企業をLinuxにスイッチさせ、Power Systemプラットフォームに移行させるのはそれほど容易ではない。

 「小さな企業にとってメリットがあるとすれば、Windowsベースのシステムでデータベースアプリケーションを実行するより、Power Systemsで実行したほうがパフォーマンスも信頼性も高まるという点だろう」とキング氏は話す。

 IBMはまた、「古いシステムからの移行を考えているSunとHPの顧客を取り込むことを狙っている」(キング氏)。HPはIntelのItaniumプロセッサを搭載したIntegrity Systemsが好調だが、SPARCベースの製品とSolaris OSを提供するSunはハイエンドサーバの販売で苦しんでいる。

ミッドレンジモデルを追加

 IBMは10月7日、Power SystemsシリーズにPower 570 とPower 550の中間に位置するミッドレンジの新モデル「Power 560 Express」を追加した。同モデルはIBMのPower6(3.6GHz)プロセッサを搭載し、最大16コア構成が可能。またDDR2 RAMは標準8GBから最大384GBまで拡張できる。Power 560は2ノード構成で、各ノードは6台のSASドライブをサポートするため、最大2.7TBのデータストレージを提供することが可能だ。

 IBMはPower 570サーバのコンフィギュレーションも変更した。今回の変更で同システムは、5.0GHzのPower6プロセッサで最大16コア、4.2GHzのPower6プロセッサで最大32コアの構成が可能になった。また最大構成で、768GBのDDR2 RAMと24台のSASドライブをサポートする。

 Power 560 Expressの価格は、AIXを搭載した基本構成で4万7216ドル。アップデートされたPower 570の価格は現時点で不明。

 新しいハードウェアに加え、IBMは今回、Power Systemsに新しい管理および仮想化機能を組み込んだ。まずPower Systemsの仮想化ソフトウェアであるPowerVMをアップデートした「Active Memory Sharing」。まだβ版だが、Active Memory Sharingによってシステムはパーティション間でリソースをプールすることが可能になり、仮想環境においてより多くのメモリにアクセスできるようになる。

 新しい管理コンソールの「Systems Directory」は、Linux、i、AIXの各OSで利用でき、物理ハードウェアと仮想環境の双方のリソースを制御、監視できる。

 さらにIBMは、エンタープライズバージョンのAIXをロールアウトした。このバージョンには、OS本体に加え、TivoliとPowerVMソフトウェアが含まれている。

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