NASAのお隣で、HPが考える「もう1つのSaaS」を見た サービスとしてのストレージって?(1/2 ページ)

NASAジョンソン宇宙基地のほど近く、コンパック発祥の地に拠点を構えるHPの「ヒューストンキャンパス」。同社ストレージ製品は「サービスとしての、シンプルなストレージを提供する」というポリシーのもと、この緑あふれる広大なキャンパスで開発されている。

» 2008年10月30日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]

データセンター統合の拠点が、ストレージの開発拠点でもある

 210万人を超える人口を抱え、全米第4の、そしてテキサス州において最大の都市であるヒューストン。日本でも、アメリカ航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙基地を擁する都市として認知されている。「こちらヒューストン……」で始まる、管制センターと宇宙船のやり取りをご記憶の方も多いだろう。

サターンVロケット アポロ計画で使われたサターンVロケット。ジョンソン宇宙基地に保存されている

ヒューストンキャンパス HPヒューストンキャンパス。写真から広さを伝えることは難しい……

 ジョンソン宇宙基地から車で1時間ほどの場所に、ヒューレット・パッカード(以下、HP)の「ヒューストンキャンパス」は存在する。そしてこの場所は、HPが買収したコンパックの発祥の地でもある。

 米国企業らしく、そして「キャンパス」というネーミングからもイメージできるとおり、ふんだんな緑地の中に各施設が点在する。もともとはHPの生産ラインが置かれていたが、増産体制確立やコスト対策といった観点から製造拠点が整理統合され、現在では主に、オフィススペースや検証用のラボとして利用されている。「元生産ライン」という事情によるものか、建面積が広いだけでなく、天井がとても高い。建物に入るとゆったりとした印象を受ける。

 キャンパスのほど近くには、同社のデータセンターが存在する。この施設は、(コンパックとの合併直後に)全世界で約850カ所存在したデータセンターを6カ所にまで集約した拠点の1つとなっている。HPでは現在、ヒューストン/オースティン/アトランタの3カ所にデータセンターを統合するプロジェクトを進めており、既に各拠点がバックアップ関係にあるという。

 まさに、HPにおけるデータコンソリデーションの中心地といえる同キャンパス。そして、キャンパス内の「Enterprise Backup Solutions Lab」でR&D(研究開発)が進められているHP製品が、HP StorageWorksだ。

増加するデータに対処しつつ、インフラ構築負荷を抑えるというニーズへの回答

ステファン・シュミット氏 StorageWorks マーケティング担当バイスプレジデントのステファン・シュミット氏。リラックスした面持ちで同社のストレージ戦略を話す

 「いわゆるデジタル情報は、そのデータ量が全世界において18カ月ごとに倍増する傾向にある。例えばSnapfishは現在6ペタバイトのデータを抱えているが、2009年には15ペタバイトになると予測している。このようなデータの爆発的増加に備えようとする(中堅中小)企業に対し、われわれが提供できる答えは何だろうか?」と自問するのはStorageWorksのマーケティング担当バイスプレジデント、ステファン・シュミット氏。

 ストレージシステムの導入という観点に立つと、投資の低減と回収、運用の効率化といった一般的な課題に加え、既存システムとの接続性や必要なタイミングで必要なデータを取り出せるアクセス性を考慮する必要が、ユーザー企業にはある。「われわれは、3つの“S”という答えを持つ。Sはいずれも、シンプルのSだ。全体では“Simply StorageWorks“という枠組みで、ユーザー企業が直面している“データ爆発への対処”と“ITインフラ構築に要する負荷”のギャップを埋める」とシュミット氏は話す。

 ここでシュミット氏が挙げた「3つのS」とは、具体的にどのような回答をユーザー企業に示すものなのだろう?

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