GoogleのGmailアプリケーションがますます強力になってきた。2004年に登場したときには電子メールの作成/送受信機能だけを備えたシンプルなWebメールアプリケーションだったGmailだが、今では多数の新機能を搭載し、企業ニーズに応えるメッセージング/コラボレーションツールへと成長した。Google Appsもそうなるのだろうか。
多くの電子メールプログラムと同様、GoogleのGmailアプリケーションも、電子メールを作成してインターネット上で送受信するだけのシンプルなツールとしてスタートした。
しばらくGmailアカウントを利用していなかったという読者は、久しぶりに使ってみるといいだろう。2004年に招待制でリリースされた当初のGmailと同じものとは思えないかもしれない。Googleはこのアプリケーションの機能を拡充し、コンシューマー向けのアプリケーションというよりも、企業向けのパーソナルプロダクティビティツールに近いものへ仕立て上げた。
例えば、Google CalendarやDocsガジェット(小型アプリケーションでウィジェットとも呼ばれる)を左側のナビゲーションバーの「Chat」と「Labels」の次に追加する機能が追加された。
また、Google Calendarの予定を表示させる、アラートを受信する、最近アクセスしたGoogle Docsを検索するといったこともGmail内からできるようになっている。Gmailの画面を離れなくても予定を確認したり、ファイルにアクセスしたりできるようにすることで、ユーザーの生産性を改善するというのが狙いだ。
こういったガジェットが利用できるというのは、初期のGmail、あるいは以前のYahoo MailやMicrosoft Live HotmailといったWebメールアプリケーションでは考えられなかったことだ。
コミュニケーションの面でも機能が充実した。チャット機能を使ってGmailからインスタントメッセージングを送信するのは以前からできたが、Gmail開発チームは10月30日、この機能を少し拡張し、ユーザーがGmailアカウントから送信相手の携帯電話へテキストメッセージを送信できるようにした。
これは、Gmailが電子メールの送受信だけにとどまらない高機能型コミュニケーションツールになってきたことを示す好例だといえる。もちろん、Gmailにも不具合はある。
今のところ、このチャット型SMS(ショートメッセージサービス)機能が有効になるのは、ごく少数のユーザーアカウントだけである。Googleはすべてのユーザーに対して同機能を有効にすることができなかったのだ。同社は修正作業を進めており、今週か来週中には解決する見通しだ。
これらの機能は、GoogleがGmailに関してもっと大きなことを計画している可能性を示唆している。その計画というのはおそらく、このアプリケーションをGoogleの数千万のコンシューマー/企業ユーザーのコミュニケーションとプロダクティビティツールのハブにするといった線に沿うものだろう。
ユーザーがGmailからすべてのGoogle Appsにアクセスできるのであれば、Gmailを自分のホームページにしようと思うのではないだろうか――これが同社の狙いのようだ。
各アプリケーションに個別にアクセスする必要がなく、オンラインでの仕事と遊びの中心的ハブとしてのGmailからあらゆるものを起動できるようになるのだ。Yahoo!もMicrosoftも、まだこういった機能を提供する準備ができていないようだ。
調査会社Ferris Researchでは、メッセージング/コラボレーションツールなどを専門にし、コミュニケーションとコラボレーションにGmailを活用している。eWEEKでは、同社のデビッド・フェリス社長にGmailについてどう思っているか話を聞いた。
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