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今日から使えるITトリビア:音響カプラや親指シフトはどこへ?――消えた技術、消えた機器 (1/2)

毎日PCを使っていると、ずっと同じ環境で仕事をしてきたように錯覚する。しかし、かつては身近にあった技術や機器の中には、現在はまったく使われていないものも数多い。あの技術、あの機器はどこにいったのだろう?


アナログモデムを使ったことは?

 使われなくなったメディアとして、本連載ではフロッピーディスクを取り上げたことがある。かつて当然のように標準装備だったフロッピードライブも、今のPCではオプション扱いになっている。同様にかつてのPCには当たり前だった装備とすて「モデム」がある。モデムといっても、今のケーブルモデムやADSL/ADSLモデムとは違う。デジタル信号を音声帯域で通信できるアナログ信号に変調する装置だ。ちなみにモデム(Modem)という用語は、modulator-demodulator(変調・復調)の頭の部分をとってつなげた言葉である。

アナログモデムは完全に消えてしまったわけではない。写真はアイオーデータの現行製品 アナログモデムは完全に消えてしまったわけではない。写真はアイオーデータの現行製品

 DOSやWindows 3.1の時代からパソコン通信に慣れ親しんできたユーザーにとっては、欠かせない通信機器だったろう。RS-232C規格のシリアルポートにモデムをつなぎ、アナログ電話機と回線の間に割り込ませる形で接続していた。帯域が音声通話と共用なので、通信中は電話をかけられない。キャッチホンを入れていると、通信がブッツリ切れることもあった。いろいろな不便はあったものの、PCを外部に接続するための唯一のネットワーク手段でもあり、当時のインターネットユーザーは、モデムとパソコン通信事業者のゲートウェイを利用してインターネットに接続していたものだった。

 ちなみに、モデム以前には、電話の受話器に取り付ける「音響カプラ」という装置が使われていた。これは、デジタル信号を完全に「音」に変換して通信するものである。

 当初は、300bpsというスピードだったアナログモデムだが、1200bpsが主流になったことから次第に普及が始まり、2400bps、9600bps、14.4kbps、33.6kbpsと次第にスピードアップしていって、最終的には56kbpsの通信速度で進化が止まった――。

 現在、データ通信用途でアナログモデムを使っているユーザーは極めて少数。ただし、FAXモデムの用途ではまだ使われることも多く、完全に消えてしまったわけではない。

ワープロ由来の親指シフトキーボード

 今のPCで使われているキーボードは、PC/AT互換機で使われていた日本語106キーボードから拡張された109キーボードが主流になっている。これは、JIS規格「JIS X 6002-1980」で定められた情報処理系けん盤配列を基としているが、最新のPCの多くには、その改良型である「OADG 109A型」と呼ばれるキー配列のキーボードが付属している。

 しかし、キーボードには、微妙にキー配列が異なる多くの種類が存在する。分かりやすいところでは、日本語キーボードと違ってカナ入力はできないが、米国で使われている101キーボードをそのまま使うことも可能だ(日本語はローマ字で入力する)。また、MacintoshやPC-98シリーズなどの独自アーキテクチャのコンピュータでも、キー配列やキー名称がちょっと違うキーボードが使われている。

 そうした中、日本独自の進化を遂げてきたキーボードもある。その最たる例が、富士通のワープロ専用機「OASYS」に端を発する「親指シフトキーボード」だ。これは、日本語の発音表記に近い入力を目指して配列を工夫したもので、左右の親指の押し方を変えながら文字を入力するというもの。ワンキーでカナが入力できるので、ローマ字入力に比べると非常に早くタイプできる。以前は、目にも留まらぬ速さで日本語をタイプする“親指シフター”も多数いた。

 親指シフトキーボードは、PC/AT互換機向けはもちろん、MacintoshやPC-98、UNIXワークステーション向けに至るまで、さまざまなコンピュータに対応した製品が作られた。現在の利用者数は非常に少ないものの、ワープロ時代から使い続けているというユーザーも多く、現役の商品として今でも製造・販売されている。

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