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» 2009年03月24日 08時00分 UPDATE

Amazon EC2/S3のコストを試算:値段で分かる、クラウドの「おいしい」使い方 (1/2)

クラウドコンピューティングの利点はさまざまに伝えられているが、実際にはどれほどのコストメリットがあるのだろうか。Amazon EC2/S3を例にとって試算してみよう。

[岡安一将(NTTデータ),ITmedia]

クラウドコンピューティングのコストメリット

 前回はクラウドコンピューティングへの期待をいろいろと挙げてみましたが、今回は、「安い・早い・うまい」と噂されるAmazon EC2/3を題材に、実際にエンタープライズ領域で利用したらどのくらいのコストになるか、試算してみたいと思います。

 試算の条件は以下に整理しました。金額そのものは利用条件しだいで変わりますが、試算をすることで、コスト効果を得るためには利用者側でも工夫が必要なことが見えてきました。

状況

 試算対象として、以下のシーンを想定してみます。

  1. ECサイトで2週間限定の決算セール用のシステム
  2. 利用するインスタンスはWebサーバとDBサーバ用に2インスタンス
  3. セール期間中は100万PV/日
  4. 業務データはバックアップを行う
  5. 業務プログラムや初期データは、環境構築時に自社からアップロードする
  6. 環境構築とテストに2週間、業務利用に2週間、撤収に1週間

Amazon EC2/S3 を利用の場合

システム構成

 利用を想定しているシステム構成と、利用するサービスの概要は以下のとおりです。

  • 構成

 WebサーバとDBサーバを1インスタンスずつ利用し、業務APが利用するデータはEBSをマウントしたディレクトリに保存する事とします。IPアドレスを固定化するオプションサービスと、業務データのバックアップ用にAmazon S3を利用します。

  • Amazon EC2(Oracle)

 仮想サーバのサービスです。WebサーバとDBサーバとして利用します。インスタンス(仮想サーバ)を再起動するとIPアドレスもデータも消えるので、注意が必要です。EC2のdiskは永続化されないという意味では、メモリと同じです。

  • Elastic Block Store

 ストライピングも可能な、EC2からマウントできるストレージサービスです。EC2で普通のハードディスクが使いたければ、このサービスを使います。要するに必須です。

  • Amazon S3

 ファイルを保存できる仮想ストレージのサービスです。ファイル単位で保存できるので、バックアップ領域として利用します。しかしEC2のインスタンスから直接マウントすることはできません(s3fsを使えばできないことはありませんが、環境構築の手間と機能制約もついてきます)。

  • Elastic IP Address

 固定IPアドレスのサービスです。サーバ再起動のたびにグローバルIPが変わるのはエンタープライズシステムとして困るので、このオプションも必須です。

  • Amazon EC2/EC2 基本料

 課金対象は3つで、EC2はサーバ利用時間と通信料、EBSとEC3は保存するデータ容量とアクセス頻度です。詳細は公式サイトをご覧ください。

試算結果

 EC2やS3を含めたAmazon Web Serviceの利用料は、公式サイトで提供されている「SIMPLE MONTHLY CALCULATOR」というツールで簡単に算出できます。条件を変えながら利用料を簡単に確認できるので、ぜひ一度コスト試算をすることをおすすめします。サーバの利用時間は「〜 Instance Compute Usage」という項目にインスタンス数×利用時間数を入力するのですが、間違えてそこにインスタンス数を入力すると利用料が安くてびっくりしますので(私はびっくりしました)、ご注意ください。

 では、以下の試算条件条件をSIMPLE MONTHLY CALCULATORに入力して、利用料の試算をしてみます。

試算条件

 算出に利用した数字は以下のとおりです。

算出の根拠
項目 想定 単位
1リクエストサイズ 30.0 KB
1ページサイズ 300.0 KB
利用時間 720.0 時間(30日)
全体のPV数 14,000,000 ページ/月 (100万PV×14日)
保存データ(EBS,S3共通) 300.0 GB
転送量(アップロード) 420.0 GB
転送量(ダウンロード) 4,200.0 GB
I/O回数(EBS) 280.0 100万回
環境構築時転送データ 300 GB

 これを実際に入力すると以下の画面のようになります。

amazontoolty_img01.jpgamazontoolty_img02.jpgamazontoolty_img03.jpg

amazontoolty_img04.jpgamazontoolty_img05.jpg

 今回の想定条件では、WebサーバとDBサーバを2週間使うために約12万円かかる試算になりました。これは国内のレンタルサーバとあまり変わらないので、高いのか安いのか判断に困ります。では、自社データセンターを利用した場合と比較して判断することにしましょう。

自社データセンター利用の場合

 企業システムなので、すでに自社のデータセンターが存在することを前提に、統合運用システムや運用メンバー、それにネットワークは既存の環境をそのまま利用できることとします。その場合、Amazon利用に対して増えるコストは、まずはじめにHW調達と設置に関するコストです。

 Amazon EC2 のStandardインスタンスと同程度のスペック(4コア)でPCサーバを購入した場合、高めに見積もっても数十万程度なので、今回の想定状況が数回発生すれば(決算セール数回分なので1年程度でしょうか)、自前でサーバを用意した方が安くなります。

 構築とテストの工数も Amazon EC2利用より若干増えると考えられます。Amazon EC2にはLinuxやApacheはもちろん、WindowsやOracleがプリインストールされた仮想イメージが準備されているので、実はインストールの手間も省けるのです。なお、Windowsの場合はEC2の利用料が少し高くなりますし、Oracleの場合はEC2の4コア分で1ライセンス必要になるため、ライセンス費用は自社のサーバ利用と大きく変わらないと考えて良さそうです。

試算結果

 定性的ではありますが、自社データセンター利用の場合は以下のコストが必要になります。Amazon EC2/S3 の利用は、少なくとも以下の費用(ほとんどが人件費)が不要になるというコスト効果が期待できますし、また、その作業に関連する作業期間が不要になるので、サービス立ち上げまでの期間を短縮する効果も確かにあります。

  • HW調達作業
  • 設置作業
  • 構築作業
  • テスト(運用費/回線費用)
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