富士通が考えるクラウド・イノベーションWeekly Memo(1/2 ページ)

クラウドがもたらすイノベーションとは――。富士通が先週、クラウドサービスの概要を発表した際、この点について見解を示した。利用する側にも参考になりそうだ。

» 2009年05月07日 06時37分 公開
[松岡功ITmedia]

富士通が目指すクラウドとは

 富士通が4月27日、クラウドコンピューティング時代に向けて、信頼性・セキュリティ・可用性・拡張性・省エネルギーを高レベルで実現するクラウドサービス基盤「Trusted-Service Platform」を構築し、順次サービス提供していくと発表した。

 ユーザーニーズにタイムリーに対応するサーバファームや、ICTシステムを安心・安全に維持するクラウドセキュリティセンターなどを設置。具体的なサービスとしては、「システムプラットフォームサービス」「ネットワークサービス」「セキュリティサービス」「マネジメントサービス」などを提供する。

 このクラウドサービスの概要については、すでに報道されているので関連記事を参照いただくとして、ここでは同日会見で富士通の富田達夫副社長が示した「クラウドに関する富士通の考え方」にフォーカスしたい。

 まず富田氏は、企業における従来のICT利活用の流れについて、本社の基幹システムによるバックオフィスから各部門のフロントオフィスへと広がり、企業活動を通じてICTを利活用しながら生まれた付加価値(モノ、サービス)を社会(フィールド)に提供してきたと説明。しかし、クラウド時代を迎えて、それが逆流する現象が起きつつあるという。

 「電子商取引をはじめ、電子政府・自治体、交通システム、トレーサビリティ、検索・情報発信、電子認証など、フィールドとの接点となるICTシステムがどんどん大きくなり、そこからフィールドで起きているイノベーションの情報が、各部門を通じて企業に入ってくるようになった。本社はそうした情報を的確に掴まないと、経営判断を誤る可能性も出てきた」

 つまり、フィールドにある集合知やロングテールの情報をどのように本社に取り込んでくるかが、クラウド時代の勘所。これをして富田氏は「フィールドでのICT利活用で生み出される大量の情報を企業活動に活用し、新たな価値を還元する時代に入った」と語った。

クラウドサービスの発表会見に臨む富士通の富田達夫副社長(左)と石田一雄経営執行役上席常務

 では、富士通が目指すクラウドとはどのようなものか。

 富田氏はそのポイントとして、「セキュリティ」「可用性・柔軟性」「オープンな開発・実行環境」「ユーザー環境の見える化」「グリーン」の5つをあげ、それらを実現する「システムリソース、ネットワーク、セキュリティ、マネジメントサービスを提供する大規模仮想化プラットフォーム」がその答えだとした。

 「富士通はこれまで培ってきたコンピューティング、ネットワーク、運用管理の技術やノウハウをクラウドにきっちりと入れ込んでいく」(富田氏)。それを具現化したのが、今回発表されたTrusted-Service Platformである。

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