社内SNSに「へぇボタン」をつけてみたITのコミュニケーションが失敗する理由(2)(1/2 ページ)

社内SNSで「読まれている実感」を書き手が持てるように「へぇボタン」をつけることで、格段に利用率が上がった事例を人材育成、組織開発コンサルティングを手掛ける大木豊成氏に紹介してもらった。

» 2009年05月25日 08時59分 公開
[大木豊成ITmedia]

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 社内SNSは、NTT東日本など多くの企業が導入している。しかし、これをどう使おうか、と考えあぐねている企業も少なくないのではないだろうか。社内コミュニケーションの活性、情報共有など、テーマや目的はいろいろあるのだと思う。

 しかし、目的もさることながら、使い方を決めずに導入してしまってうまく機能しない企業もある。そこは、使い方、誰が主導になって運用(システム面ではなく)していくのか、といったことを考えておく必要があると思う。

 今回の記事を書くにあたり、バーチャレクス・コンサルティングの丸山栄樹社長にインタビューさせていただいた。

 バーチャレクス・コンサルティングは、コンタクトセンターのアウトソーシングを受託・運営しており、150人の正社員がいる。その正社員全員が、2005年から導入されている社内SNS「Tiari」に登録されている。

 この会社のルールは、入社したらTiariに登録される、ということだけだ。登録されたらすぐに、社員から歓迎のコメントが飛び交う。その理由は、新入社員や別企業からの転職もいるが、多くがコンタクトセンターのオペレーターとして契約社員だった人が社員になることから来ている。

 「久しぶり!」「おっ、社員になったの!おめでとう!」といった活発なコメントが飛び交う。

 会社の方針として、何を書いても構わないとしている。前回の企業と対局だ。丸山社長によると、「何を書くとか、何は書いてはいけないといったルールは決めなかったが、結果として社内SNSにふさわしくない投稿はなかった」ということだ。

 ここで考えさせられたのは、いわゆる性善説か性悪説か、といったことかもしれない。経営者が社員を信じることで、結果的に活発なコミュニケーションが生まれることになった。

 このSNSには、アクセスランキング、コメント数ランキングといった一般的なSNSの機能以外に、自社独自の「へぇボタン」を付けている。一時、テレビ番組ではやった「へぇ」と音のするあの発想だ。社員がSNSにアクセスし、各社員の投稿を読んでも、詳しくコメントを書き込む時間をとれない場合がある。そういった時に、感心した投稿や勉強になったと思える投稿に対し、へぇボタンを押しておくことで記録が残る。音が鳴るわけではないが、自分の投稿に対して、へぇボタンを押された数が分かり、そのランキングも分かる。

 誰がへぇボタンを押したのかも分かるので、社長やマネジャー職からの「へぇボタン」だと、「読んでくれた」「感心してくれた」ということが分かるようになっている。

 社内のコミュニケーションの基本は、普段のちょっとした会話から始まるものだ。「おはよう」「お先に」といった出退勤のあいさつも重要だが、その合間に交わされる会話もとても大切なものである。特に自分が感じたこと、思ったこと、伝えたいことに対して返答を返してくれるとうれしいものだ。

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