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» 2009年05月27日 09時15分 公開

ITのコミュニケーションが失敗する理由(3):ノウハウを出したくない心境 (1/2)

営業担当者は、メリットもないのにノウハウを教えたくない。ましてや、イントラネットを使って情報を出す気にはならない。その企業では、イントラネット運営担当が社内を奔走して情報発信者を求めた。

[大木豊成,ITmedia]

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 ある外資系医療事業では、営業担当者の報酬が個人の売り上げに直結している。そのため、人の世話をしたり、情報共有をしたりする時間があったら売り上げに直結する行動、つまり営業活動をする時間に充てたいと考えている人が多い。

 一方、会社として情報共有はポイントであり、成績の良い営業担当者からノウハウや成功体験を発信してほしいと考えていた。しかし、成績の良い営業担当者ほど年中走り回っており、ブログなどに書き込んだり、BBS(掲示板)で情報発信したりする時間がないと考えていた。

 この会社では、もともとあったイントラネットに改修に改修を重ね、ファイルサーバ、ブログ、ポータル、BBSといったものを統合したイントラネットが出来上がった。

 しかし、それでも情報発信を進んで行う営業担当者はいない。そこで、イントラネットの運用責任者自ら社内を奔走し、内線で営業担当者と話し込み、いろいろなキーマンに直接会って交渉を重ねた。

 情報発信はスムーズにはいかなかったが、それでも直接交渉の甲斐あって、少しずつ情報が増えていくことになった。営業担当者から発信してほしい情報には、成功体験や失敗体験といったノウハウにかかわるものもあるが、一方でプレゼンテーションに使った資料といったものもある。売れる営業担当者がどのようなプレゼンテーション資料を使っているのか、といったものはぜひ共有したいものだ。

 だが、社内にライバルがいるといった意識の中で、その資料を共有させることは容易ではない。何とか理解を得られたとしても、公開する場所がなくてはいけない。ファイルサーバの奥底では探すのも大変だ。

 同社では、アマゾンのユーザーインタフェースを勉強し、お勧め商品のように、最近アップされたプレゼンテーション資料を紹介するといった工夫を凝らした。しかし、これを自動化するのは難しい。ファイル名だけでは中身の工夫が分からないからだ。そこで、イントラネットの運用責任者が中身を確認し、また資料を作った担当者にヒアリングをかけ、創意工夫した点が分かるように公開することにした。

 この作業は容易ではない。しかし、会社の発展を考えるからこそ、ここまできたのだと思う。必要な情報を持った人間を把握し、その情報を引き出すためにオフラインで交渉を重ね、その人間に負担にならないように情報を受け取り、情報を求める人たちが見つけやすいように創意工夫し、使われているかどうかをモニタリングしていく。その結果を受けて、改善を重ねる。

 当たり前のPDCA(Plan Do Check Action)のように見えるが、これをきちんと継続することは大変だ。逆に考えると、これくらいやらなくては、社内の情報共有は難しいということだ。コミュニケーションツールを導入して「はい、どうぞ」というものではない。

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