企業を引き付けるスマートフォンの新たな波セキュリティの懸念も(1/2 ページ)

Apple、Palm、Googleの各スマートフォンプラットフォームは企業向けの機能を備えているが、それぞれ幾つかの問題を抱えている。

» 2009年07月07日 07時26分 公開
[Andrew Garcia,eWEEK]
eWEEK

 Palm PreのモバイルOS「Palm webOS」のリリースに加え、AppleのiPhone OSおよびGoogleのAndroid OSが最近アップグレードされたことで、コンシューマーの間でインテリジェント型スマートフォンに対する関心が一段と盛り上がっている。

 これらのプラットフォームは高度なコンピューティング能力、充実したアプリケーション開発環境および企業向けの機能を備えているため、従業員がスマートフォンから社内のリソースにアクセスするのを許可するだけでなく、これらのプラットフォームを社内に導入するという企業もあるかもしれない。

 しかしそういった企業は各プラットフォームを厳しくチェックし、それらが今日のモバイルコンピューティングニーズに対応するだけでなく、現在取り組んでいるIT構想と連係する能力(あるいはその方向に向けた明確なロードマップ)を備えており、将来のニーズにも対応できることを確認する必要がある。

 皮肉なことだが、企業の視点から見た場合、これらのモバイルOSの実用性の要となるのは、Microsoftの技術であるEAS(Exchange ActiveSync)の採用だ。PalmのwebOSとAppleのiPhone OSには直接組み込まれており、Androidではサードパーティーのインプリメンテーション(Emtraceの「Moxier Mail」など)を通じて追加される各プラットフォーム用のEASは、企業ユーザーが第1世代の携帯端末に対して抱いていた不満を実質的に解消するものだ。企業ユーザーが求めていたのは、セキュアかつタイムリーなメールの配信、そして予定表や連絡先を携帯端末と社内システムとの間で双方向に同期化する機能だ。

 各社のモバイルOS内でのEASの実装方法にもよるが、EASは各種の管理機能(リモートワイプやポリシー配布/適用機能など)を提供することによって新たな企業ニーズにも対応できる可能性がある。

 「iPhone 3.0」ソフトウェアアップグレードを先ごろリリースしたAppleは現時点で、Microsoftのデータセンターソリューションとの連係という部分でAndroidおよびwebOSよりも先を進んでいる。iPhoneでは現在、パスワードの使用ならびにその設定(パスワードの複雑さ、有効期間、履歴など)を強制適用することができるからだ。

 しかしEASの利用によって、これらのデバイスに対する企業ニーズのすべてに対処できるわけではない。ファームウェアの管理や暗号化の強制といった問題は、EASの守備範囲外であるからだ。

 iPhone 3.0のリリースで企業での有用性が高まったiPhoneだが、ファームウェアアップデートは従来と同様、iTunesが動作しているコンピュータにデバイスを接続して行う必要がある。これに対して、webOSとAndroidデバイスでは、通信事業者またはハードウェアメーカーから直接、アップデートをワイヤレスで受け取ることができるため、アップグレード作業がIT管理者の手を完全に離れることになる。サポートを軽減するために、社内の携帯端末のOSのバージョンを統一したいと考えている企業は、アップグレードプロセスをコントロールするのが難しいと思うかもしれない。携帯端末用OSのアップデートは矢継ぎ早にリリースされている。Palmでは新リリースの相次ぐ投入をためらわず、Preで新プラットフォームを採用して最初の1カ月で3回もポイントアップグレードをリリースした。

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