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» 2009年07月21日 07時10分 UPDATE

会社に潜む情報セキュリティの落とし穴:監視カメラ社会の行き着く先は? (1/3)

防犯や証拠の確保といった役割から世界的に普及が進む監視カメラだが、使い方によっては恐ろしいことにもなりかねない。すでに一部では現実になりつつあるようだ。

[萩原栄幸,ITmedia]

数々のセキュリティ事件の調査・分析を手掛け、企業や団体でセキュリティ対策に取り組んできた専門家の萩原栄幸氏が、企業や組織に潜む情報セキュリティの危険や対策を解説します。


 今回は街中に溢れつつある「監視カメラ」について解説します。最近、警察の検挙率が下がっています。警察庁資料によれば、戦後の混乱期を脱した1950〜1988年の検挙率は60〜70%台を維持し、先進国ではずば抜けて高い検挙率であったものが、2001年には戦後初めて20%を下回る19.8%になりました。その後は若干回復し、2008年の検挙率は31.5%となりましたが、40年近く続いた60〜70%台の検挙率には遠く及びません。

 そうした状況の中、1つの救世主として注目を浴びている機器が監視カメラです。コンビニエンスストアの外にある監視カメラが犯人を捕らえたものや、駐車場の監視カメラが傷害事件の一部始終を撮影していたなど、テレビで放映されただけでも結構な件数に上ると思います。しかし、この状況は21世紀にあるべき姿なのでしょうか。とんでもない状況を作り出すきっかけになるかもしれません。

監視カメラ先進国の英国

 早稲田大学法学部、水島朝穂教授(現早稲田大学法学学術院教授)のゼミナールの報告によれば、英国では1986年に工業団地へ3台の監視カメラを設置したところ、58件も発生していた犯罪が2年後にはゼロになったといいます。以降、さまざまな自治体へ順次導入されるようになったそうです。また、英市民団体「STATEWATCH」の情報技術担当であるベン・ヘイズ氏によると、1967年に小売業の店内監視のために監視カメラが導入され、1975年には地下鉄内に設置されたといいます。

 水島ゼミ報告(2003年度)では、監視カメラの設置台数は約300万台と世界の10%を占め、人口比でも世界最大になります。設置効果として、報告ベースでは設置した地区で35〜90%も犯罪が減少しました(ただし、一部の学者は根拠がないと主張している)。

 英国ではおおむね、監視センターを警察や民間の警備会社が運営しており、顔認証などのバイオメトリクス技術を採用しています。容疑者の顔データがデータベースに登録され、カメラで監視して照合し、80%以上の一致をみると警察へ通報する仕組みが多いようです。しかも、1995年調査では市民の90%が監視カメラシステムに賛同していました。

 水島ゼミ報告には調査年月が多少古いものの、他国の状況も紹介されています。「California Research Bureau 1997.6」から抜粋して紹介しましょう。

  • カナダ:1992年に設置。すべての犯罪の75%を記録
  • ロシア:省庁や広場に設置。犯罪、テロから守る
  • モナコ:街全体を24時間監視
  • イラク:銅像の中に隠して設置

などとあります。

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