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» 2009年08月26日 11時12分 UPDATE

Oracle Database Summit レポート:ユーザー企業が感じ取るクラウドの威力 (1/2)

日本オラクルが8月25日に開催したOracle Database Summitでは、ユーザー企業によるパネルディスカッションが開催され、クラウドを使った情報システム構築について議論が行われた。

[谷川耕一,ITmedia]

 「ここ最近は、データベースの会社からトータルなソフトウェアの会社に変わろうとしてきたこともあり、2年間データベース単独のイベントというものを行ってきませんでした」

endo.jpg 日本オラクルの代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏

 8月25日に日本オラクルが開催したOracle Database Summitの冒頭、日本オラクルの代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏は、最近データベースに関するメッセージをきちんと市場に伝えて来なかったことを反省し、会場に集まった大勢の参加者に申し訳なかったと謝ることからあいさつを始めた。

 これから迎えるクラウドコンピューティング時代には、あらためて「情報」がシステムのコアとなり、それを企業のプロセスに連携させて行くこととなる。その際には、データベースというソフトウェアの存在が、一段と重要な存在になると遠藤氏は言う。

 Oracleではクラウドコンピューティングで必要となる俊敏性や柔軟性を提供するのが、次世代のデータセンターだとしている。次世代データセンターの実現は、実はたやすいことではない。しかしながら、Oracleのデータベースを中心とするグリッド技術でそれを可能にするとのことだ。

クラウドは企業情報システムの救世主か?

 ここで、SGホールディングス 経営戦略部 IT戦略課長 兼 佐川コンピュータ・システム 取締役 三原 渉氏、マツダ システム企画統括部 ITインフラグループ マネジャー 岡原俊幸氏、みずほ情報総研 金融ソリューション第2部 部長 宮田隆司氏の3人が登壇し、ITmedia エグゼクティブの編集長、浅井英二がモデレーターを務める形で「クラウドは企業情報システムの救世主か?」というタイトルのパネルディスカッションが開かれた。

sagawa.jpg 佐川コンピュータ・システム 取締役の三原氏

 最初の話題は、企業のIT部門が抱える問題点。SGホールディングスでは、グループ内や佐川急便本体の部門ごとに独立採算制的な経営体制できたために、システムもバラバラになってしまったと三原氏は言う。結果的には、さまざまなベンダーに依頼する体制が出来上がってしまい合理化がなかなかできない。さらに、情報システムの心臓部をベンダーに握られてしまっており、なかなかコスト削減に踏み出せないといった現状を指摘した。もう1つの課題がスピードで、M&Aや新規サービスにITがいかに即応できるかも大きな課題だとのこと。

 マツダもビジネスの要求にタイムリーに応えたいのが、大きな課題だと岡原氏は言う。ところが現実には30〜40年経過したメインフレームもあり、なかなか手を入れることができない。システムの多くが、外部技術者によって運用されている状況であり、マツダのプロパー技術者がシステムの中身をよく分かっていない課題もあるとのこと。これに対し、ITシステムの価値そのものを見直すことで対応しようと試みているという。

 みずほ情報総研の宮田氏は、自社がITサービスを提供するベンダーの面から、2社の課題のスピード化と空洞化はさまざまな企業に共通の課題だと指摘する。その1つの要因が、いままではITシステムの構築や運用のプロジェクトを成功させることに情報システム部門は軸足を置かざるを得ず、ITによるサービスそのものをどうするべきかに重きを置けない現状があったと分析する。

okaharamatusda.jpg マツダ システム企画統括部 ITインフラグループ マネジャーの岡原氏

 岡原氏は「情報システム部門が弱体化しているのは恥ずかしい話だが、まだまだ取り返せる」という。まずは勉強して標準的なやり方を身につけることが重要とする。時間はかかるかもしれないが、やっていかなければならないと主張する。

 また三原氏は、いまはスピード化がもっともチャレンジングなことであり、実現に注力しているとのこと。まずは、全社規模で無駄を省きコストを削減する。その削減分を戦略的な投資に回す。SGホールディングスでは幾つか戦略的な投資の成果も出てきており、新しいビジネスに対応するシステムを迅速に提供し、3カ月でスタートするなどの対応が実現できたとのことだ。

現状の課題を解決する次世代データセンターをいかにして手に入れるか

 現状の課題解決のためにも、俊敏性、拡張性を持つクラウド時代の次世代データセンターが企業には必要になる。具体的にはどうすればいいのだろうか。岡原氏は、拡張性は十分ではないが、いま所有するデータセンターでもグループ内でなるべく共有することは既に進めているという。ただし、そのデータセンターも、電源装置の更新時期を迎え、電力不足などの課題も出てきている。それらに継続して対応しなければならないが、今後も自社ですべて背負って行くことには不安だという。

 三原氏も、現状のデータセンターの設備は、無停止でシステム運用したい際には、災害時などのバックアップ体制が十分とはいえないと話す。しかし、現状を多重化すればコストが大きく跳ね上がるので、まずはバックアップでクラウドが活用できないかと考えているとのこと。またサービスを組み合わせ新たなサービスをすぐに構築できる可能性もクラウドには期待しているとのことだ。「最初はクラウドという言葉に怒りというか、恐れを感じていた」と三原氏。当初はベンダーがまた新しい言葉を生み出し、もうけようとしているのかと思ったからだ。しかし、いまではクラウドが自分がやりたいことを実現してくれるかもしれないと考え始めているとのことだ。

miyatamizuho.jpg みずほ情報総研 金融ソリューション第2部 部長 宮田隆司氏

 岡原氏は、クラウドは必然的な方向性であり、実現すればインフラの制約がなくなる。そうなれば、どうやって持つかではなくどう利用するかが重要になると指摘する。ベンダーへの要望として、クラウドに移行するにあたり、クラウド用にアプリケーションを書き換えるなどがないよう、ユーザー側に負担を伴わない方法を提供してほしいという。三原氏は、まずはグループ内でハードやソフトを意識しないインフラ環境を作るところから始める。そして、パブリッククラウドがどう成長するかを見極めていくとのことだ。

 最後に宮田氏は、ベンダーの立場として、既に地銀共同センターやみずほグループでも米国のパブリッククラウドの利用例があり、銀行のようなセキュリティに厳しいところが利用している現実を知ってもらいたい。そして、まずはパブリックでもプライベートでも、クラウドを利用してほしいという。そのうえで適用すべき範囲を見極めることが重要だと主張した。

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