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» 2009年08月27日 08時00分 UPDATE

Gartner Column:データ中心主義――貫く情報システムがもたらす恩恵 (1/3)

情報システムが乱立していても、そこに存在するデータは不変です。今回は情報システムの再構築に当たり、「データを中心に考える」ことの効用をご説明します。

[小西一有(ガートナー ジャパン),ITmedia]

「今の情報システムの機能をゼロから作り直すことができれば、今度はシンプルに作ることができるのに」

 既存の情報システムを大量に抱えている企業の方々は、一度や二度はこう考えたことがありませんか? 長年にわたり稼働し続けているシステムに対してこう考えているのは、あなただけではありません。おそらく、IT関連の仕事に携わっている方はみんなこう思っていると断言できます。

 現在企業で稼働している情報システムの状態を大きく分けると、(1)開発当時に大急ぎで作らないといけなかったため、設計が不十分なまま構築され、システムが複雑になっている、(2)開発当時から何度も改修を繰り返したため、内部構造がスパゲティ状態になっている、(3)開発当初のままの古い技術やアーキテクチャ(設計思想)が適用されており、保守性が著しく低下している、(4)前回のコラムを読み、機能単位で構築しているシステムを捨てて、業務プロセスを柱にしたシステムに変更したいと考えている――という4つが考えられます。

 ですが、現行の情報システムをすべてリセットすることは不可能です。仮に再構築することになっても、費用面の負担において合理的な説明はできないでしょう。

 ガートナーでは、これらの課題に正面から立ち向かった企業の先進的な事例を調査しています。これを分析すると、情報システム構築の基本となる考え方には幾つかの共通点が見られます。

 これらの事例を先導したCIO(最高情報責任者)や経営層は基本的に、「業務プロセスこそ情報システムに実装されなければならない」ということを理解しています。そのため、彼らは最初に業務プロセスの可視化に着手します。そして、この業務プロセスがどのようなデータや情報を基に形成されているかを調べ、詳細を記述していきます。

 情報システム構築において必要なのは、データの名称や発生源とそれが利用・更新されるタイミングを徹底的に調べ上げることです。その上で、データや情報を処理するテクノロジーを設計していきます。この手法は、組織のプロセス、情報システムの構造や機能を厳密に記述する「エンタープライズ・アーキテクチャ」を適用するアプローチと類似しています。

 エンタープライズ・アーキテクチャを適用して、ハードウェアやOS、ネットワーク、アプリケーションなどの基本設計および構築する情報システムの未来像を見直すことはとても大切です。しかし、どんな企業にも、ビジネスや技術の動向に応じて、エンタープライズ・アーキテクチャに基づいた計画を見直していく「エンタプライズ・アーキテクチャ・プログラム」の適用が最適であるとは限りません。人的リソースや投入する予算があり余っている企業のほうが少ないからです。

 ですが、情報システムと業務プロセスの関係を見直すことはあらゆる企業にとって必須の課題です。必ずしも重厚なエンタプライズ・アーキテクチャ・プログラムを発動する必要はありませんが、業務プロセスとその配下にあるデータモデルを記述しておくことは大事といえます。実際、データモデルの見直しが、情報システムを再構築するための糸口となる事例は少なくありません。

 従来のシステム設計は処理機能、つまりシステムで実行する業務フローを基にプログラミングを行い、システムを開発してきました。このフローで厄介だったのが、複雑な処理機能や変化しやすいビジネスルールを理論的に記述するということでした。ですがどんな業務フローにも必ずデータがあります。処理機能やビジネスルールが変化しても、取り扱うデータそのものは不変です。ここに着目することが、システム構築の肝になるのです。

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