世界の事例にみるBPO成功の鍵――アクセンチュアに聞くわが社のコスト削減(1/2 ページ)

アウトソーシング大手のアクセンチュアにビジネスプロセスアウトソーシングを成功させる方法について話してもらう寄稿の2回目。

» 2009年09月08日 08時00分 公開
[田村貴志(アクセンチュア),ITmedia]

アウトソーシング大手のアクセンチュアにビジネスプロセスアウトソーシングを成功させる方法について話してもらう寄稿の2回目。1回目はこちらです。


 大手石油会社であるBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)はアクセンチュアの最初のBPOクライアントであり、BPの上流部門における財務・経理業務全般を18年前の1991年から受託している。このときBPの財務・経理部門のスタッフ320人がアクセンチュアに転籍し、BP向けの財務・経理業務を行うこととなった。これは単なるコスト削減のための転籍ではなく、BP向けのサービスをほかの企業にも提供し、コストセンターをプロフィットセンターに移行させるという、壮大なビジョンを見据えた計画の第一歩であったのだ。

 この「アバディーン・デリバリー・センター」は、設立当初から北海にて操業するメジャー(大手石油会社)の注目を集め、今日では450人のスタッフ(その約3分の1は公認会計士資格を保有)が、北海油田におけるメジャー6社に対して財務・経理業務サービスを提供している。

 またここで業務サービスだけでなく、業務に使用されるシステムも提供している。さらにクライアントに質の高いサービスを提供し続けるために、アバディーンのスタッフに対して教育・キャリア開発を支援。その結果、高いスキルと士気を持ったスタッフはアクセンチュアのほかのエネルギー産業のクライアントに対してもサービスを行うようになっている。

 アバディーン・デリバリー・センターは、アクセンチュアのコンサルティング・チームと常に密接な関係を保ち、ベスト・プラクティスや新しいテクノロジーを必要に応じてクライアントに提供できる体制が取られている。その結果、クライアントはより効率的で高品質なサービスを受けることが可能となった。ビジネス上の効果としては、これまでにオペレーションコストを50%以上削減している。

エーザイ

 大手製薬会社のエーザイでは、優れた技術レベルとコスト・パフォーマンスの良さを併せ持つ地域にオペレーションを移す「トランスフォーメーション戦略」を推進している。特に製薬業界の開発競争が激化し、研究開発期間の短縮が非常にクリティカルな課題であり、臨床データ管理業務のグローバル標準化が急務であったことから、臨床データ管理業務について、既に当該分野で実績のあるアクセンチュアをパートナーに決定した。当初のBPOの対象業務は、臨床データ管理業務のみであったが、続いてeDC(electronic Data Capturing/電子的臨床情報収集システム)業務も対象となった。

 このBPOの特徴は、インドのチェンナイにあるアクセンチュアのグローバル・デリバリー・センターを活用し、日欧米の各地域に分散していた業務を集約したことだ。地域間での情報共有なども含めて臨床試験におけるデータ収集およびデータ報告の一層の効率化と迅速化を図っている。

 臨床データマネジメントについてアクセンチュアは、米国、欧州、日本などで、10年以上のプロセス設計・組織設計・システム導入などのコンサルティング経験を持ち、インドのデリバリーセンターを中心に、クリニカル・データマネジメント、統計解析、メディカル・ライティングなど、多岐にわたるアウトソーシング・サービスを提供している。

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