SGIのDNAはデータセンターに根付くか

日本SGIは、データセンターサーバ事業への進出を発表。Rackableによる買収を経た新生米SGIが生み出したCloudRackなどを携え、新たな勝負を開始する。


佐藤氏 データセンターサーバ事業を第4の柱に、と意気込む佐藤氏

 「HPC、ビジュアライゼーション、メディア&アーカイブという弊社の主要事業領域に加わる“第4の柱”、それがデータセンターサーバ事業である」――日本SGIの代表取締役社長兼CEOの佐藤年成氏はこう話し、新たな製品ラインアップを紹介した。

 旧米SGIが5億2000万ドルを超える負債を抱えて連邦企業再生法第11条(チャプター11)を申請したのが2009年4月のこと。この発表に飛びついたのが、中規模および大規模データセンター向けのサーバとストレージを手掛ける米Rackable Systemsだった。同社は米SGI資産の買収を発表し、わずか1カ月ほどで資産買収を完了した。Rackableは資産買収の完了に合わせて社名を「Silicon Graphics International」とし、ブランドの維持を図っているものの、SGIはITベンダーとしては第一線から退いた感がある。

 一方の日本SGIは、日本電気(NEC)の実質的な子会社であるため、HPC領域を除けば直接的な影響は受けず、上述の佐藤氏が話すように日本独自の事業領域も展開しているものの、新生SGIの方針をある程度くんだ事業戦略も展開しようとしている。それが、今回発表されたデータセンターサーバ事業への進出である。

高密度低消費電力をBTOで

tnfig1.jpg CloudRackで用いるサーバトレイはパーツがむき出しの状態。マザーボードレベルから幅広いBTOに対応する

 今回日本SGIから発表された新製品は、サーバ製品「SGI CloudRackファミリー」「SGI Foundation Rack」およびコンテナ型モジュラーデータセンター「SGI ICE Cube」である。このうち、CloudRackは、Rackableによる買収を経た新生SGIとしては初の製品となる。

 CloudRackファミリーは、既存の19インチラックに設置可能な「X2」と、24インチラックを用いる「C2」が用意される。専用のサーバトレイはパーツがむき出しのネイキッドに近い状態で、はてなが自社で自作しているサーバに近い形状だ。BTOによる幅広いカスタマイズに対応することで、ニーズに合わせて柔軟な構成を組めるのが特徴の1つだ。

 もう1つ特徴的なのは電源部分で、同社独自の配電技術である「Power XE」を採用、3相電流のバランスを95%以上の精度とすることで、電力効率を高めるとともに、DC(直流)12ボルトを用いて配電効率も向上させている。冷却効率の面では、ラックキャビネット側に空調ファンを集約した専用設計などにより、サーバ単位ではなくラック単位で冷却するようにした。これにより、最高室温40度の稼働試験ではPUE(Power Usage Effectiveness:データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割って算出する指標)1.4を実現できたという。

tnfig3.jpg SGI CloudRack X2。サーバトレイを縦に組み込むことで19インチラックに収容可能だ

 SGI Foundation Rackは、Rackable時代から提供していたサーバで、奥行きが従来型サーバの約半分であるhalf-depthサーバデザインを採用したもの。このサーバを向かい合わせるようにラックに格納することで、ケーブルの保守性を高めるとともに、ラック当たり88台の物理サーバと比較的高密度な構成を実現する。独特のエアフローで排熱を行うため、ホットアイル(暖気通路)とコールドアイル(冷気通路)という昨今のデータセンターで多く用いられる冷却手法とは必ずしもそぐわないが、新規にデータセンターを構築するようなユーザーには検討の余地があるだろう。

 SGI ICE Cubeは、Sunの「Sun Modular Datacenter S20」やIBMの「Portable Modular Data Center」、HPの「HP POD」と同様のコンテナ型モジュラーデータセンター。ただし、日本市場ではコンテナ型モジュラーデータセンターの需要が少なく、数えるほどの導入事例しか報告されていないので、製品ラインアップとして名を連ねただけの印象を受ける。

 同社が第4の柱と位置づけるデータセンターサーバ事業。新規iDC事業に対しては専任体制を、プライベートクラウド向けには既存の営業体制で臨み、初年度の売上目標を8億円、今後3年間では40億円を狙うという。HPC向けにはAltixの開発も継続していくというが、全体としてはチャプター11を経てかつてのSGIが備えていたギラギラした感じはなくなってしまったように感じる。低消費電力と高密度を売りするBTOモデルで、どこまで勝負できるかが注目される。

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