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» 2009年10月07日 16時30分 公開

伴大作の木漏れ日:世界の潮流と日韓 (1/3)

ICTをめぐる経済情勢を語るという命題をさかなに一献傾けようと秋の夜長を楽しんでいる。そんな中、先日韓国ソウルを訪れた。この10年の韓国の発展はまぶし過ぎるほどだ。

[伴大作,ITmedia]

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 秋の夜長とよく言ったものだ。2009年、大手ベンダーの要職を退いた人物と昨今のICTをめぐる経済情勢を語るという命題をさかなに一献傾けようと、まさに秋の夜長を楽しんでいる。ちょっと、余談になるが、9月の中旬、4日間韓国ソウルを訪れた。以前の訪韓が2000年だったので大方10年近くが経過している。

 それにしても、今回の金融危機で日本以上に打撃を受けたはずの韓国だが、僕の目には「第二の漢江(ハンガン)の奇跡」(編注:1970年から80年代にかけての韓国の高度経済成長)が起こっているようにしか見えない。それほど、この10年の韓国の発展は目覚しい。

 今回の訪韓は、クライアントから今までほとんど注目してこなかった韓国の企業の内情を探ってほしいという話が発端で実現したのだが、僕のようなポンコツにはソウルの発展は眩し過ぎた。その驚きから話を始める。

日本とは全く異なった産業政策

 このところ、韓国政府は立て続けにEUやカナダなど先進諸国のFTA(自由貿易協定)を締結している。これ自体はテレビでも既に報道されている。日本が農業保護で足を取られている間に随分先行されてしまった。

 たとえ二国間交渉であろうとも、自由貿易を標榜し、実践に移しているということを日本は見習わなければならない。どうも、日本の企業は「国際化を急いでいる」と言っているが、本心は国内市場にそれなりの規模があるため、海外市場が生命線とまで考えていないのではないだろうか。それに対し、韓国のサムスンやLGなどの電機産業、現代(ヒュンダイ)自動車や起亜(キア)自動車などの自動車産業はいずれも日本以上に海外市場への依存度が高い。

 もちろん、造船や鉄鋼など海外に依存している企業の割合は日本以上だ。国内の市場規模が日本ほど大きくないため、海外に活路を求めるしか生き残りの道はないからだ。

 これは両国の産業政策に直接跳ね返ってくる。韓国の農業は日本同様、小規模零細経営で行われている。つまり、国際化の痛みは日本も韓国も変わらないのだ。FTA締結により農業に壊滅的な打撃を与える可能性があっても韓国が国際化に積極的なのは、日本同様、資源がほとんどない国の将来を見据えた生き残り策だ。この真剣さの違いはどこから来たのだろうか。

10年前との比較

 そのほかにも実際に現地を訪ねて見ると、日本との違いには驚かされた。10年前の訪韓は仁仙(インチョン)国際空港を利用した。韓国の企業からの招待という事情があり、出迎えの企業の車でソウル市内にたどり着いた。訪韓の目的は韓国のネット事情視察で、日程もぎっしりと詰まっていて、市内をゆっくりと散策する余裕などなかった。

 ホテルもソウル中心部とはいえない場所だったこともあり、IMFの通貨危機の影響が残り、重苦しい空気が街を支配していた。また、今ほど、自動車産業が興隆する前なので、街を走る自動車は日本の一時代前の車が走っているなという印象を強く持った。

 今回の訪問ではソウル中心部に宿泊し、余裕を持った日程で過ごすことができた。お陰で、前回の訪問では感じられなかった、全く異なった印象を持った。

 極めて強く印象に残ったのは、町を走る車が綺麗で立派になったことだ。ヒュンダイを始め、ヒュンダイ傘下であるが独自の自動車開発を行っているキア、ルノー・サムスンなど多くの国産車が走っている。もちろん、ベンツやBMWなどのドイツ車も走っているが、それはほんの少数にすぎない。日本車と思って見るとエンブレムが全く違っていて、韓国製の車だった。(ルノー三星製)

 ヒュンダイの車は確かに日本製とデザインは大きく違うが、世界的に流行っているデザインを採用しているため、日本車やドイツ車に比べてもそれほど遜色がない。また、サムスン製の車はほとんど日産がデザインしたモデルだ。

 加えて、韓国の町中を走っている自動車は日本と比べて新しい車が多い。日本のように登録から10年を超えるような車はほとんどない。明らかに車が綺麗だ。そのため、街が華やかに見えた。

 道路も東京のように2車線が標準ではない。片側5車線の道路が普通に町中を貫いている。高速道路も立派だ。そういえば、地下鉄も随分綺麗になった。高速鉄道網も整備されつつある。十年一昔というが、現在の韓国はその言葉通りだ。最近、日本の伝統的なスポーツでも、韓国の人たちは日本人のお株を奪う活躍をしているという話をよく耳にするが、経済はそれ以上だろう。加えて、街づくり、インフラ整備でも韓国の後塵を拝するようでは日本の将来が心配になる。

 追いかけるほうが逃げるより楽だという話がある。追われる日本に迫る韓国、この競争は単に企業の話ではなく、彼らを指導する官庁、政治家の責任でもある。

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