システム移行プロジェクトで困難なのがDBの移行だ。業務停止時間の長さや互換性リスクなどに不安もある。だが綿密に準備すればあまり問題はないという。Oracle DBのプロフェッショナルに極意を聞いた。
富士通グループの一員である富士通北陸システムズは、ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 10g資格取得者国内1位、ORACLE MASTER Platinum AWARDの第1位を2年連続で受賞したシステムインテグレーターとして知られている。北陸地方を主な業務範囲としているITサービス企業だが、実際には「富士通」としてサービスを提供することも少なくない。同社では特にOracle Database(Oracle DB)に関連したソリューションやサービスに注力しており、ORACLE MASTER取得者の数はその取り組みのほどを示すものともいえる。
同社が手掛けているOracle DBのバージョン移行サービスや、関連ソリューションなどについて、データベースソリューション事業本部 ソリューションサービス部の池田高志氏に聞いた。
池田氏は1998年に富士通北陸システムズに入社、当初はOracle DBのサポートを担当しつつスキルを向上させていった。2004年1月にはOracle9i DataBaseのORACLE MASTER Platinumを取得。日本での第1号だった。この年からOracle DBのチューニングや、DataGuard構築サービスなどの案件を数多く担当、2006年には金融機関の勘定系DB(データベース)構築を担当するなど、幅広い業務に携わるようになっていった。
さらに2008年3月にはOracle Database 10gのORACLE MASTER Platinumも取得、現在ではデータベース移行やアップグレードを主に手掛けているという。
一般に、システム更新やサーバ統合などのプロジェクトでは、しばしばDBの移行が大きな課題になる。CRMなどのフロント系システム更新であれば、新たな環境を用意しておいて一気に入れ替えることでサービスを止めずに移行することも容易だが、DB移行の際には新たな環境に大量のデータをコピーせねばならず、どうしてもある程度の計画停止時間が必要となる。DBのデータ量は年々増加傾向にある一方で、移行作業の際に許される計画停止時間は短縮が求められるのだ。
また、同社が手掛けてきたDB移行案件の中では、移行元DBの6割以上がOracle 9iで、移行先はOracle 10gと11gが合わせて6割以上と、新たなバージョンへのアップグレードを行うケースも少なくない。このようなアップグレードの際には、アプリケーションの挙動が変わってしまうといったリスクも考えられる。となると綿密なテストが求められ、開発期間は長く、コストも高くなりがちだ。ユーザー企業としては、そうしたリスクやコストをできるだけ押さえたいところ。かつ、不確定要素は早期になくしておきたい。
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