誰もが未来に不安を持つ不景気時代にいる中で、会社と従業員の関係はどうあるべきなのか。ソフトバンクなどでさまざまなプロジェクトを経験している大木氏に話してもらう。
2008年9月のリーマンショックから、売り手市場だった人材市場が一気に買い手市場になりました。派遣切りなどという言葉が横行し、派遣社員、業務委託社員を解雇・契約解除に踏み切る会社が増えました。
「大手企業でさえ、やっているくらいだから……」
そういう言い訳をしながら、便乗している会社もあったのではないでしょうか。
不景気時代という言葉は、どこか人のせいというか、自分は何も悪くないというニュアンスが含まれているように思います。確かに、自分一人が悪いわけでもないし、自分が不景気を生み出したわけでもない。しかし、目の前に起きていることは、何とかしないといけないわけです。もし、自分がリストラ対象だったら……。
1980年代はバブル経済に踊り、1990年代の初頭にはそのバブルが終焉を迎えました。95年のWindows 95発売を機に、90年代後半に今度はITバブルがやってきましたが、それも2000年にははじけ飛んでしまいました。
しかし、それでも企業も人も、しんどい思いをしながらも、何とか乗り越えてきたのだと思います。わたしは、それは企業経営者とそこに勤める社員の適応力だと考えています。いまは100年に一度の不況だとか言われていますが、程度はともかく初めての不況ではないのです。
一昔前は、わたしたちに求められる機能は、さほど多くはありませんでした。職人肌で無愛想でも、「彼はこれができるから」とかばってもらうこともできました。
ところが、ここ最近は「職人肌なんて認めない」という風潮があるように感じます。プログラマーであっても、客先で商談してこなくてはならなかったり、ともすると慣れないスライドを使ってプレゼンテーションをすることになったり。
慣れないことを続けて、心の病になる方も少なくありません。また、できない言い訳をし続ける人もいます。しかし、「できない」を言い続けても本質的な改善にはなりませんし、一生それでいいのか、という疑問も浮かんできます。できるために、やり切るためにどうするのか、を考えることも必要なのではないでしょうか。
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