企業価値を向上させるIT基盤構築

ITが生み出す「現場の力」が企業を成長させるCosminexus Day Report

2月25日、日立製作所は「Hitachi Open Middleware World Cosminexus Day」を開催。Cosminexus V8.5にフォーカスし、製品紹介や事例など多様なセミナーが展開された。

» 2010年02月26日 08時00分 公開
[横田貴司,ITmedia]

 2月25日、日立製作所の「Hitachi Open Middleware World Cosminexus Day 今こそ見せよう 日本の現場力」が開催された。会場では同社が提供するアプリケーションサーバ「Cosminexus」に焦点を当て、製品のコンセプトと機能、事例などが紹介された。

現場の強化が、変化に対応する力を生む

ソフトウェア事業部 事業部長の坂上秀明氏 日立製作所 ソフトウェア事業部 事業部長の坂上秀明氏

 開会の挨拶に登壇した日立製作所 ソフトウェア事業部 事業部長の坂上秀明氏は、多くの企業が直面しているさまざまな変化に対応するためにはビジネスプロセスの迅速なIT化とそれによる「現場の強化」が必要であるとし、それを成し遂げた企業が自らの価値を高め、持続的に成長できると述べた。坂上氏は、目まぐるしく変化する現場の状況に対応するには柔軟なITシステムを構築することが重要であるとし、ITを十分に活用することで変化に対応できるビジネスの速度を向上させることが必須だと強調した。

 坂上氏のスピーチを受け、1月にリリースされたCosminexus V8.5のアピールポイントを解説したのは、ソフトウェア事業部 アプリケーション基盤マーケティング部の尾花学氏だ。尾花氏はCosminexus V8.5はIT運用部門、開発部門、業務部門のそれぞれの現場の力を向上させることができるとし、各部門の課題とCosminexus V8.5による解答を示した。

運用の現場が求める、システムの安定稼働

ソフトウェア事業部 アプリケーション基盤マーケティング部の尾花学氏 ソフトウェア事業部 アプリケーション基盤マーケティング部の尾花学氏

 仮想化システムにおける運用の現場の課題として管理の複雑化がある。サーバリソースの追加・移動のたびにその上で走る業務アプリケーションとの連動を取らなければならないなど、仮想化環境を確実に運用管理するのは簡単なことではない。

 Cosminexus V8.5では業務単位での構築が可能になっており、そのため運用管理にも手間のかからないシステムを作ることができるという。業務ごとに起動と停止ができるため、物理・仮想サーバの構成にとらわれることのない構築運用が可能になる。

 また、運用面におけるCosminexus V8.5のもう一つのメリットがFull GC(ガベージコレクション)が発生しない安定稼働だという。仮想化環境においては大容量のメモリを搭載するケースが多く、そのためメモリの断片化を解消するFull GCによる停止時間が数十秒に及ぶこともある。このFull GCを回避することで、レスポンスの遅延のない稼働が可能になる。

 CosminexusにおけるFull GC回避は前のバージョンであるV8.0より実装されているが、V8.5では任意のオブジェクトに対してFull GC回避が可能になっており、より確実に安定稼働を図ることができるという。

開発速度の向上と情報の可視化を視野に

 また尾花氏は開発部門の課題として、既存資産の有効活用を挙げた。Cosminexus V8.5ではESBを介したデータ連携によりソフトウェア資産を組み合わせ、開発効率を向上させることができる。また、レガシーシステムに関しても、OpenTP1上で実績のあるソフトウェア資産を再利用することで開発スピードを上げることができるという。

 業務部門のニーズであるデータの可視化については、ストリームデータ処理技術で対応する。取引情報や操作ログ、各種センサーの情報など、現場で逐次発生する大量のデータを高速に時系列分析・モニタリングすることで、今まさに起きているビジネス上の問題やシステムの状況などを瞬時に把握できるようになるとしている。繁忙時と平常時の統計を元に、現在の状況を把握したり、今の業務状況やそこからの予測によってITリソースの配分を最適化するなど、さまざまな活用法が考えられるという。

 尾花氏は、これらCosminexus V8.5の機能を「現場のポテンシャルを引き出し、さらに新しいビジネスを生み出す力」と例え、製品のメッセージである「Fast&Reliable(素早く、確実に)」を体現するものとして講演を終えた。

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