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» 2010年04月22日 08時00分 UPDATE

伴大作の木漏れ日:クラウドコンピューティングの本質 (1/3)

クラウドは、過去に何度か登場したシステムとは完全に別次元のものだ。情報システム部門が生き残る唯一の方法は、クラウドに積極的に取り組むことである。

[伴大作,ITmedia]

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 クラウドコンピューティングが盛り上がりを見せている。僕はこのコラムで何度かクラウドについて書いてきた。正直に言って、いまだに多くのマスコミやベンダー、ユーザー企業は、クラウドの本質を見抜けていないと憂えている。彼らの多くは、クラウドを新たなコンピュータシステムの一種として位置付けようとしており、話題の中心に上るのはエンタープライズクラウドだ。その方が分かりやすいからである。

 過去、クラウドのような革新的なシステムが何度か話題になった。その中にはオープンシステムのように、今や誰もが知っているシステムも含まれている。その時に情報システム部門が取った行動は、調査とテスト導入にとどまっており、これはどんなシステムでも例外なく同じだった。僕が昨年、日本アイ・ビー・エムの「CloudBurst」に高い評価を下したのは、CloudBurstがクラウドに関する具体的な製品で構成されており、従来の情報システム部門の評価法に見合うと判断できたからだ。

 僕は、クラウドは過去に何度か登場したシステムとは完全に別次元のものと考えている。今回はその話をしよう。

経営者のつぶやき

 コンピュータに関する“流行り言葉”が出てくるたびに、経営者は情報システム部門から新たな開発予算を要求される。そのたびに彼らはこう思う。「経営における成果が期待できるのか」

 結論を言うと、彼らの困惑はおおむね正しい。新しい技術を吸収できる企業は一握りであり、ほとんどの企業は新規投資に失敗しているからだ。ただし、今までの投資は総額が小さく、企業の存亡を賭けるほどのものでもなかった、失敗しても「まぁ、失敗もあるよ」と構えることができた。

 しかし、クラウドは従来の新規技術とはまったく異なるものである。経営者および企業の情報システム部門は、まずそれを認識しなければならない。

クラウド誕生の歴史的背景

 少し話が横道にそれるが、大企業の情報システム部門の多くは、この数年でコンピュータ導入50周年を迎えている。当初は「電子計算機」と呼ばれた高額のマシンが導入され、それ以降もさまざまなシステムが取り入れられた。初期は大型コンピュータのメインフレーム(単にずうたいが大きいという意味で大型)、次いで工場や関連企業、下請けの技術部門にミニコンピュータなどが導入された。さらに中堅規模の企業にはオフィスコンピュータが、高速な計算処理を必要とする大学や民間の研究所にはスーパーコンピュータが導入された。

 1980年代、コンシューマーを対象とした「パーソナルコンピュータ(PC)」が誕生した。最初の対象は純粋のマニアだったが、やがて表計算や文書作成を目的として、企業のPC導入が次第に進んだ。その後、低価格化や高性能化により、消費者や高性能コンピュータを利用する科学技術分野でもPCが利用されるようになった。

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