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» 2010年05月18日 08時00分 UPDATE

伴大作の木漏れ日:3億4000万円のストレージ (1/2)

4月に日本IBMが発表した3億4000万円のストレージ。その高価格に驚かされた一方で、同製品がストレージにおける「新しい時代の幕開け」の象徴であることが感じ取れた。

[伴大作,ITmedia]

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 CMのタイトルではない。日本アイ・ビー・エム(日本IBM)が4月23日に発表した、ストレージ自動階層化機能付き新型高性能ストレージ製品の価格を正直に書いただけである。不況の色がまだ薄まっていない時期に、こんな高価格なストレージ製品を突然発表するなんて、同社には正直驚かされる。

時代が変わった

 日本IBMが発表したのは、ストレージの最上位機種「IBM System Storage DS8700」。1Gバイト単位でデータを自動的に再配置するストレージ階層化機能「IBM System Storage Easy Tier」を搭載しており、最小構成価格は3億2509万5500円(税別)。消費税を加えると3億4000万円を超える。こんな高額なストレージ製品は、僕の記憶にはない。

 もちろん、仕様や性能は価格に十分見合っている。あまりにシステムが複雑なため、詳細な仕様の解説は見合わせるが、ペタバイト級のストレージとして何もかもがそろっている上、あらゆるストレージ製品と比べても、搭載可能なディスク容量、SSD容量、ネットワーク、バスすべてにおいて大変優れている。

 競合機種は、モンスターストレージと称されるEMCの製品であるのは間違いないだろう。同社は仮想ストレージ管理ソフトウェア「FAST」を搭載した「EMC Symmetrix V-Max」を2009年に発表している(参照記事:モンスターマシンが実現するプライベートクラウドの夢)。

 EMC Symmetrix V-Maxは価格が非公開であり、単純な比較はできないが、ちまたでは同じような構成で2億4000万円程度とうわさされている。DS8700と同程度のSSDが搭載されたとしても、相当高額である。

 どうも年をとったせいなのか、こうした流れについていけない。ストレージはプロセッサ装置に従属しているという概念が強いので、同製品のようにプロセッサ装置よりはるかに高額な製品が出てくる背景は、理解するのが難しくなってしまった。

 だが、明白なことがある。それは、コンピュータシステムの主役がここ数年でプロセッサからストレージに移ってしまったことだ。

ストレージをめぐるもう1つの潮流

 僕が注目しているストレージには、別の潮流がある。その代表例が、クラスタストレージのリーダーである米Isilon Systemsのストレージだ。

 同社の製品には、IBM、EMCと同様、ペタバイト級のストレージ製品「IQシリーズ」がある。この製品は、スケールアウトNASと呼ばれるストレージ製品で、4テラバイトから10.4ペタバイトまでの拡張性を備え、45Gバイト/秒のトータルスループットが期待できる。大容量のデータの格納と扱いやすさに重点が置かれている。

 扱いやすさという点では、2008年10月に米Hewlett-Packardに買収され、現在は同社のミッドエンドストレージ製品群の中核となっている米LeftHand Networksの製品も注目だ。保守の容易さ、仮想ストレージ技術で急成長を遂げている。

 僕はこの2つにおいて、Isilon製品を特に注目している。なぜなら、従来のストレージ製品と異なる新しい用途に用いられているからだ。

 現在、一般化したデジタル技術はさまざまな分野で応用されている。音楽や映画の製作においても、今やコンピュータは欠かせない存在になっている。特にIsilonのストレージは、SF系作品を製作するシステムやデジタル化するテレビのコンテンツを格納する用途において、存在感が際立っている。

 音楽やテレビ、映画のデータは、非構造化データと呼ばれ、冗長な処理系ではあるものの、大量のデータ処理が伴う。従来は巨大なデータを安価に処理することは難しかった。

 こうした課題を解決する糸口を提供したのが、IsilonやLeftHandの製品である。特に画像、映像がインターネット上で配信されるのが常識となった現在、両社の製品は「新しい潮流」にマッチしているといえる。

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