EMCは、4月15日、クラウド時代の企業データ・センターに向けた新アーキテクチャ「EMC Virtual Matrix アーキテクチャ」と、このアーキテクチャを採用した仮想データ・センター向けハイエンドストレージ「EMC Symmetrix V-Max」を発表した。
「EMC Symmetrix V-Max」(以下、V-Max)は1台で、いずれも最大レベルで128個の4Gビット/秒ファイバチャネル・ポート、2400ドライブのディスクチャネル、ストレージプロセッサはIntel2.3GHzクアッドコアを16CPU、128コアそしてメモリは1Tバイト搭載可能。同社のハイエンド製品と比較してもおよそ3倍のパフォーマンスを発揮し、3倍の有効容量を実現、消費電力は20%削減できるという。
V-Maxはこの日紹介された、「EMC Virtual Matrix アーキテクチャ」を採用した製品として位置付けられる。新アーキテクチャはシステムの容量を数百Pバイト、IOPS(1秒あたりの入力/出力)を数千万までに拡張することができるアーキテクチャ。数十万台のVMwareおよびその他の仮想サーバを、単一のストレージ・インフラストラクチャでサポートできるという。ストレージの物理的な制約を排除するとともに、ストレージ管理を容易にする自動化を実現する。
V-Maxは1台で最大8つの「Symmetrix V-Maxエンジン」を組み込むことができる。1つのエンジンにつき、2つのCPU、最大128Gバイトのメモリを搭載しているので、これらが8つ組み込まれると16のCPU、最大1Tバイトのメモリを搭載することになる。そしてそれぞれのエンジンが相互接続して高いパフォーマンスを発揮するという仕組みがEMC Virtual Matrix アーキテクチャの最大の特徴となる。
また接続台数の制限はあるものの、複数台のV-Maxをつなげていくことで、数十万の仮想サーバ群に対応できるようになる。
EMCジャパンの高橋俊之執行役員 マーケティング本部長は次のように話す。
「現在の各企業が構築、管理しているデータセンターの状況は、セキュリティが強固に守られ、事業継続を最優先したものになっている一方で、エンドユーザーからは融通が利かない、役に立たないなどと批判されているケースが多い。そのような中で企業の外ではクラウドコンピューティングに代表されるような、利用効率の高い仕組みが発展してきており、注目されている。しかしクラウドの仕組みは本当に安全なのかという不安を感じるIT担当者も少なくない。そこで安全で使い勝手のいい仮想クラウド環境を自社で構築するという選択肢が考え始められている。今後、この先進的な選択を選ぼうという企業に向けて、今回のアーキテクチャと製品を投入した」
高橋氏は、仮想クラウド環境を仮想データセンターという言葉にしてさらに説明する。
「サーバやネットワーク、そしてストレージの仮想化が進み、データセンターそのものが仮想化環境で運用される時代では、複数の仮想データセンター間の垣根を越えて単一のストレージ環境を実現できる仕組みが必要だ。それを可能とするのがEMC Virtual Matrix アーキテクチャといえる。単一の情報インフラを作りたいというユーザーニーズに正面から応えるものだ」
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