ポイントモール市場の可能性アナリストの視点(1/2 ページ)

企業のポイントプログラム展開が増えている。それに伴い、ポイントモール市場も拡大傾向にある。同市場の現状と今後を分析する。

» 2010年05月19日 08時00分 公開
[西川徹(矢野経済研究所),ITmedia]

アナリストの視点」では、アナリストの分析を基に、IT市場の動向やトレンドを数字で読み解きます。


 近年、クレジットカード会社によるポイントモールの展開が増えている。

 これは、クレジットカード会員などがポイントサイトを経由することで、販売サイトなどを利用するよりも多くのポイントを獲得できるインターネット上のサービスである。ポイントモールは、クレジットカード会社やEC(電子商取引)サイトが提供している。

 ポイントモールのビジネスは、主に自社会員を提携先の企業に送客し、コンバージョン(成約)させることで発生する手数料から成り立っている。手数料の一部を成約した会員に還元することで、コンバージョン率をさらに向上させられる。ECナビなどに代表されるポイントサービスが該当する。

ポイントサイト/ポイントモールの分類

 ポイントモールは、サービス提供の目的から2つに分類できる。1つは自社サービスの活性化につなげる「販促型(ポイントモール)」、もう1つはポイントモール事業そのものを目的とする「事業型(ポイントサイト)」である。

 販促型(ポイントモール)には2つのサービス形態がある。1点目はクレジットカード決済の利用を促進し、売り上げ拡大を図る「クレジットカード系」サービス。2点目は、自社で発行したポイントを付与・還流させる「囲い込み系」のサービスだ。

 事業型(ポイントサイト)は、(1)電子メールを使って会員にリーチする「メール系」サービス、(2)Web上で集客した会員を提携サイトに送客し、ポイントインセンティブを与えてコンバージョンさせる「Web系」サービス、(3)他社ポイントとの交換や共通ポイントを販売する「ポイント交換/共通ポイント」サービス――の3つに分類される。

目的 該当するサービス 主要サービス例 手法
販促型(ポイントモール) クレジットカード系 永久不滅ドットコム、Oki Doki ランド、ときめきポイントTOWN、セディナモール、POINT名人など クレジットカード決済の利用を促進し、売り上げ拡大を図る
囲い込み系 ベルメゾンポイントパーク、bk1ポイントモールなど 自社で発行したポイントを付与・還流させる
事業型(ポイントサイト) メール系 ドリームメール、フルーツメール、GetMoney!など 電子メールを使って会員にリーチする
Web系 ECナビ、ライフマイル、ちょびリッチ、予想ネット、Warau.jp、チャンスイット、マイポイントなど。モバイル専業:モッピー、ポイントオンなど Web上で集客した会員を提携サイトに送客し、ポイントインセンティブを与えてコンバージョンさせる
ポイント交換 Gポイント、PeX、ポイントオンなど 他社ポイントとの交換や共通ポイントを販売する
共通ポイント ネットマイル 他社ポイントとの交換や共通ポイントを販売する
表1:ポイントサイト/ポイントモールのサービス分類(出典:矢野経済研究所)

 ポイントモールの市場規模は、2010年度に132億5000万円、2011年度に168億1000万円、2012年度に202億5000万円と推移する。またポイントサイトの市場規模は、2010年度には168億円、2011年度に174億5000万円、2012年度は181億5000万円に上る見通しだ(図1)。

ポイントモール/ポイントサイト市場規模推移と予測 図1:ポイントモール/ポイントサイト市場規模推移と予測(注1:広告費とは、純広告とアフィリエイトの合算。注2:リサーチ事業、EC事業等の関連事業は含まない)(出典:矢野経済研究所)
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