オラクルは「サン」を生かせるかWeekly Memo(1/2 ページ)

日本オラクルが先週行った決算説明会において、6月1日付で統合したサン・マイクロシステムズに関連する事業の新年度業績への影響や見通しを明らかにした。果たして統合効果はいかに――。

» 2010年07月05日 08時00分 公開
[松岡功,ITmedia]

明らかになった統合形態と業績への寄与

 「ソフトウェアとハードウェアを一体化したオラクルの垂直統合ビジネスは、オープンではないとの見方があるが全くの誤解だ」

 日本オラクルの遠藤隆雄社長兼CEOは、同社が6月30日に行った2010年5月期決算説明会でこう切り出した。誤解を解く遠藤社長の説明は後ほど紹介するとして、6月1日付でサン・マイクロシステムズを統合してハードウェア事業も取り込んだ同社が、具体的な統合形態や旧サンに関連する事業の新年度(2011年5月期)業績への影響や見通しについて同説明会で明らかにしたので、そちらの話から紹介しよう。

 まず統合形態としては、6月1日付で米Oracleの子会社である日本オラクルインフォメーションシステムズ(以下、OIS)とサン・マイクロシステムズが合併し、OISが存続会社となった。同時に日本オラクルは、旧サンが取り扱っていたハードウェア製品や関連サポートの日本の販売窓口としてシステム事業部門を新設し、OISから旧サンの社員500人を出向の形で受け入れた。

 OISを介在させる形は、日本オラクルが従前から採っている統合スキームで、内部の組織体制とともに旧サンのパートナー企業との契約形態における移行措置でもあるようだ。OISが旧サンのパートナー企業と6月1日をもって以前と同じ内容の契約を引き継ぎ、今後順次、Oracle標準の契約形態に切り替えて日本オラクルとの直接契約に移行させていく計画だ。

 また、旧サンが手掛けていたソフトウェアやコンサルティング、教育関連については、日本オラクル内の同種の部門に統合された。これに伴って、同社のソフトウェアプロダクト部門はソフトウェア・ライセンス部門に、ビジネス・アプリケーション部門はアプリケーションズ部門にそれぞれ名称変更された。

 一方、旧サンに関連する事業の新年度単独業績への貢献度合いについては、「売上高で約320億円、営業利益で20億円前後になる見込み」(野坂茂 専務兼CFO)だという。売上高の内訳は、ハードウェア製品145億円、関連サポート146億円を合わせたハードウェア関連が291億円、残りがソフトウェアおよび各種サービスとのことだ。

 こうした旧サン関連の事業が上乗せになることもあり、日本オラクルは新年度単独業績として、売上高で前年度比33.0%増の1474億円、営業利益で同6.5%増の414億円、純利益で同6.7%増の244億円と、大幅増収および増益を見込んでいる。

決算説明会に臨む日本オラクルの遠藤隆雄社長(右)と野坂茂専務 決算説明会に臨む日本オラクルの遠藤隆雄社長(右)と野坂茂専務
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