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» 2010年08月25日 08時00分 UPDATE

伴大作の木漏れ日:スマートフォンの行方 (1/3)

iPhoneの躍進を支えるのは、Appleの巧みな製品戦略とビジネスモデルに対する先見性である。Android搭載端末で迎え撃つプレイヤーを含めたスマートフォン市場の動向を、僕なりに考察したい。

[伴大作,ITmedia]

 米AppleのiPhoneとiPadの勢いが止まらない。ソフトバンクの孫正義社長は先日の記者会見で「スマートフォン市場の8割はiPhoneだ」と発言した。「へぇ」という程度にしか感じなかったあまのじゃくな僕が「変人」に見えるほど、世間はiPhoneやiPadに熱くなっている。「Apple狂想曲」が鳴り響く中では、製品に注目が集まり、物事の本質が見えにくくなる。今回はAppleの戦略に注目しながら、今後のスマートフォン市場の動向を考察したい。

優れた製品と戦略

iPhone 4 iPhone 4

 Appleが大成功した要因の1つは優れた製品である。iPhone以前のiPodが既にそれを実証している。

 2つ目の要因は、プラットフォームの整備である。メモリに音楽を収めたプレーヤーはiPodが出る前も数多く存在した。Appleがそれらの製品を蹴散らしたのは、製品自体の優秀さに加え、iTunes Storeという楽曲の配信基盤を最初から準備した先見性があったからだ。

 iPodで蓄積した成功のノウハウはiPhoneで大きく開花した。BlackBerryに代表される従来のスマートフォンはテキストモードが主体であり、ビジネス向けではグループウェアのクライアントを備えたものが多かった。それらは、音楽や画像、映像を受信するネットワーク端末としては考えられていなかった。PDCやGSMのようなナローバンドが主体の時代ならそれで十分だったかもしれない。だが、W-CDMAなどの3Gの普及は、スマートフォンの潮流を一挙に変えた。

 いち早くIntelのAtomを使用したNetbookが急速に販売数を伸ばしたのは、記憶に新しい。だがNetbookは安価なモバイルPCにすぎなかった。インターネット接続の性能は十分あったが、欠落もあった。それは、Netbook用のコンテンツを準備していなかったということだ。

 iPhoneやiPadはこの点において、iPodで培ったノウハウとコンテンツ流通の力を遺憾なく発揮した。Appleの戦略の勝利である。

 またほかのスマートフォンと比べても、iPhoneやiPadには際立った特色がある。自社製のOSや独自のCPUを使用していること――これが3つ目の要因だ。設計から製造までを自前で手掛けることは、製品の数を十分にさばけない場合には大きなリスクとなる。だが、右から左へと飛ぶように売れるApple製品の場合、開発コストは製品コストによって極小化され、競合企業に対して優位に働く。

 独自の技術はさまざまな部分で正規化ができるため、立ち上がりの時間を短縮したり、バッテリー消費を抑えたりするといった工夫が可能になる。実際、iPhoneやiPadは、起動してから端末が使えるようになるまでの時間が極めて短い。Windows OSを搭載したPCとは比べものにならない速さだ。これが実現できたのも、Appleが独自のOSやCPUを採用したからだ。

予約販売というビジネスモデル

 iPhoneやiPadの購入には予約が必要だ。「前評判が高いため、売り出す際に混乱が予想される」というのがその理由だが、今やソフトバンクの店頭で買う場合も予約が当たり前になっている。これは売り上げの予測から生産計画を立て、店頭で販売するPCのような従来型の販売形式とは大きく異なる。在庫のリスクを極小化できるため、利益率はおのずと高くなる。

 Appleの4〜6月期の決算は、同社史上空前の好決算だった。売上高は157億ドル(前年同期比61%増)、利益は32億5300万ドル(同78%増)。販売台数の内訳はiPhoneが839万台(同61%増)、Macが347万2000台(同33%増)、iPadが327万台だった。唯一前年を下回ったiPodの販売台数は940万6000台(同8%減)だったが、その減少は顧客の一部がiPhoneに流れたからと推察できる。

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