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» 2010年09月28日 08時00分 UPDATE

中堅・中小企業のSaaS/クラウド活用:【第3回】PaaSはシステム間の連携基盤として活用 (1/3)

企業にはさまざまなシステム形態が存在する。状況に応じてクラウドサービスを組み合わせることがシステム改革の成功の近道といえるだろう。

[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

 中堅・中小企業がSaaS/クラウドを活用する際のポイントについて、本連載ではシステムの階層に関する視点を広げるべきだと述べてきた。第1回では、あらかじめ用意されたサービス形態の業務システムを利用するという意味でのSaaSだけでは、システムインテグレーションを伴う業務システムなどにおいてクラウドが持つメリットを享受するのは難しいと述べた。第2回では、SaaS活用と独自開発システムを両立させる手段としてのIaaS(サービスとしてのインフラ)について解説した。

 最終回となる今回は、SaaS活用を成功させるためのPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)について解説する。

既存の開発手法を利用できないことがデメリット

 PaaSとはシステム開発、運用におけるプラットフォーム(言語やフレームワークなど)をサービス形態で提供するものを指す。PaaSの活用は多くの場合プログラミングを含むシステム開発を伴う。それらを担うSIerがPaaSをどうとらえているかをまず知っておくべきだろう。

 以下の図は、年商5億円以上〜500億円未満の中堅・中小企業を主な顧客とするSIerに対して、「実施中/計画中のクラウドへの取り組み」を聞いた結果である。

実施中/計画中のクラウドへの取り組み 実施中/計画中のクラウドへの取り組み

 IaaS、PaaS、SaaSのそれぞれについて、「自社で提供」「他社が提供するものを再販」「他社が提供するものをOEM」「顧客が契約/利用する環境上でシステム構築/運用を行う」といった選択肢を設けている。以下が特に多かった回答およびそれに対する筆者の見解である。

「IaaS」を自社にて提供する:

 中堅・中小企業向けにおいても、顧客の業務システムを預かるアウトーシング形態は従来から存在する。より安価で拡張性の高いアウトソーシング環境を提供するという意味で、自らIaaSの提供を検討するSIerも少なくない。「OpenStack」などオープンソースソフトウェア(OSS)によるクラウド環境の構築手段が注目を集めているのも、こうした背景がある。

顧客が契約/利用する「IaaS」上でシステム構築/運用を行う:

 これは顧客主導によるIaaSの活用と考えられる。年商300億円〜500億円の中堅上位企業になると、情報システム部門が主導して大企業とそん色のない規模の情報処理システムを構築、運用しているケースが少なくない。その場合には顧客側がIaaSの活用を自ら検討、実践し、SIerがその方針に従って然るべき役割を担う形態となる。

「SaaS」を自社にて提供する:

 システムインテグレーションの土台となる業務システムパッケージを自社で持つSIerも少なくない。自社パッケージを土台として、複数拠点を持つ顧客向けにインターネット越しに利用可能なシステムを構築、運用することはよくある。その実績を生かし、顧客の裾野を広げるなどの目的で自社パッケージのSaaS展開に踏み切るなどといったケースがこれに当てはまる。


 この結果を見ると、中堅・中小企業を顧客に持つSIerはPaaSに対する取り組みがやや消極的だ。その理由は次ページの調査結果を見ると明らかになる(対象企業は先のグラフと同様に年商5億円以上〜500億円未満の中堅・中小企業を主な顧客とするSIerである)。

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