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» 2010年11月25日 08時00分 UPDATE

アナリストの視点:日本企業の経営スタイルをBPOで変革 (1/2)

世界的な経済危機の影響で、現在もなお多くの企業がコスト削減に躍起になっている。そうした中、再び注目を集めているのがBPOである。

[石塚俊(矢野経済研究所),ITmedia]

アナリストの視点」では、アナリストの分析を基に、IT市場の動向やトレンドを数字で読み解きます。


2009年度までのBPO市場の動向

 今回はBPO(Business Process Outsourcing:ビジネスプロセスアウトソーシング)市場について解説する。

 矢野経済研究所の調査結果では、2009年度のBPOサービス市場を3兆1511億円と推計している。そのうち、狭義のBPOサービス(システム運用以外の業務を発注元企業から業務委託を受けて代行するサービス)の市場規模は、前年度比100.1%の1兆8075億円と推計した。

 金融危機以降、コスト削減につながるBPOサービスの利用を新たに検討する企業が増加したためであろう。既にBPOサービスを導入済みの企業でも、既存のBPO事業者の見直しを進め、さらなるコスト削減につながるBPOサービスを求める企業が増加した。そうした企業の動きも、コスト削減を目的にした新規の引き合いを増加させたと見られる。

 ただし、新規にBPOサービスの有効性を検討した企業は増えたものの、導入の決定までには至らないケースが多かったようだ。金融危機の影響による急激な景気の悪化により、企業の業務量が減少し、社内人員に余剰感が生じていた。そのため、キャッシュアウトを伴うBPOサービスよりも、社内人員による内製化を優先した企業が多かったことから、引き合いの増加ほどにはBPOサービスの導入が進まなかったと見られる。

 2010年に入ってからは、これまでアウトソーシングの利用を検討してきた企業が、少しずつ、案件の具体化を進めている。短期的な視点から中長期的な視点に切り替えて、構造改革に取り組む企業が増加してきたためである。並行して、BPOサービスに対する値引き要請も減少し、受注単価に下げ止まり感が出てきており、総じてBPO事業者の外部環境は好転しつつある。

 しかし、多くの事業者が期待するようなBPOの急速な普及は当面期待できない。欧米では、インド系IT企業が提供するBPOサービスが急速に普及したが、国内では、BPOサービスの導入に対して抵抗感を持っている企業が依然として多い。BPOの導入により、セキュリティレベルやサービス品質が低下することや、該当社員のリストラにつながることを多くの企業が懸念しているため、国内のBPO市場が急速に成長するとは予測し難い状況である。

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生産性の低い日本の現状

 これまで日本は、米国に次いでGDP(国内総生産)で世界第2位の座を維持してきた。日本人は、休みを取らずに長時間労働を行なう勤勉な国民性を持っており、それが日本経済をここまで成長させてきた要因の1つであろう。

 しかしながら、日本は第2位の座を2010年には中国に明け渡し、さらに近い将来にはインドにも抜かれると予測されている。さらに日本では、急速に少子高齢化が進み、10年後には4人に1人が高齢者になると言われている。労働力人口の減少によって、今後の成長を期待しづらい状況にある。

 公益財団法人日本生産性本部の発表によると、労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)の国際比較では、日本は主要先進7カ国で最下位、OECD(経済協力開発機構)の加盟国の中では、20位前後と低い位置にある。日本の生産性が低いのは、多岐の業務に時間をかけてきめ細やかに対応する勤勉な国民性が原因とも言われており、必ずしも悪い結果と断言できない面もある。とはいえ、今後の重要な改善点であることには間違いない。

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