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特別対談:変化の読めない時代――企業に求められるソフトウェア活用法とは

企業は社内外の知見をリアルタイムに集約し、即時に経営判断に反映するため、ソフトウェアを活用し、情報システムを迅速に構築しなければ、競争優位を築けなくなっている。アイ・ティ・アールの生熊シニアアナリストと日本IBMのマッキン美都理事に話を聞いた。


 市場の変化が激しくなり、企業の意思決定は難度を増している。このような時代に求められるのは、社内外のさまざまな知見をリアルタイムに集約することと、それを即時に経営判断に反映するためのシステムを構築することだ。

 導入の障壁が下がりつつあるソフトウェア活用の可能性についてアイティメディアの浅井英二を進行役として、アイ・ティ・アール リサーチ統括ディレクター/シニア・アナリスト 生熊清司氏、そして日本IBM ソフトウェア事業 理事 マーケティング&ストラテジー担当 マッキン美都氏に話を聞いた。

変化のスピードに企業はどう追従すべきか

ibm_01_photo_01.jpg 日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 理事 マーケティング&ストラテジー担当 マッキン美都氏

浅井 経営を取り巻く環境は厳しい、としばしば言われていますが、これまでとはどこが大きく変わってきているのでしょうか。

生熊 意思決定、経営判断が難しい時代になっています。従来のような経験則や勘だけでは通用しないほど、市場の変化のスピードは上がっています。このような時代に必要なのは、素早くアクションを起こすことと、常にデータを分析し、変化を見極めながら軌道修正していくことです。それにはITの支援が不可欠です。

マッキン 判断の基準をどこに置くかも重要になります。同じお客様の声でもそれが個人的な意見なのか、それとも背景に市場のトレンドがあるのかで、取るべき選択は異なります。データ分析のツールとして日本企業ではExcelを使うことが多いですがリアルタイムな状況判断にはあまり適していません。データを即時に分析し、スピーディな意思決定をサポートするシステムを入れることで企業の成長力は大きく向上するでしょう。

生熊 大切なのは未来を予測することです。過去だけを見ていても答えは見つかりません。データ分析を元にしたシミュレーションを迅速に行うことが求められるのです。

マッキン そうですね。データマイニングを活用することによって、一人一人の患者様に合わせたテーラーメード医療の提供を可能にした、武蔵野赤十字病院様の事例があります。データマイニングを通じて、患者様についてのさまざまなデータから、投薬の有効性や症状が悪化する可能性を予測し、最適な治療内容を決定することが可能になりました。ITを活用することで、最適な判断をすることができた一つの例です(参考事例)。

浅井 とはいえ、ITRのIT投資動向調査でも多くの日本企業が「情報活用」は重要だ、と毎年回答しながら、結局のところ上手くできていません。なぜ「永遠の課題」なのでしょうか。

生熊 ITの重要性は十分理解されており、これからのIT部門には、従来のコストセンター業務だけでなく情報を活用して収益に結び付ける取り組みが求められています。しかし、多くの企業は取るべき手段がまだ見えていません。

 また、日本企業特有の合議制がIT導入の妨げになっている場合もあります。トップダウンで物事が決定する欧米と違い、さまざまな立場からの意見を尊重する傾向があるため変化のスピードは遅くなりがちです。

マッキン その一方で合議制には多人数の声から有効な知見を見いだせるというメリットもあります。その強みを生かすには社内外の意見を吸い上げる仕組みが不可欠ですが、ここで役立つのもやはりITです。

 一つの方法として挙げられるのはポータルサイトを構築し、経営者の意思をダイレクトに伝える場を作り、同時に担当者レベルでの意見交換や提案の機会をソーシャル機能で支援することです。情報共有の枠組みを作り、社内のさまざまな知見を集約してトップの意思決定を支援することがボトムアップカルチャーを機能させる要素の一つになります(参考事例)。

ソフトウェア活用でIT導入はスピーディーに

ibm_01_photo_02.jpg アイ・ティ・アール リサーチ統括ディレクター/シニア・アナリスト 生熊清司氏

浅井 新しいシステムを迅速に取り入れ、実際に業績を伸ばしている企業がある一方で、そのような先進企業の取り組みを自社と関係ないものと考える企業もあります。

マッキン その原因の一つは従来の開発手法による「自前主義」への固執です。何かを作ることへのこだわりは日本企業が誇るべき長所です。しかし、それが今となってはブレーキになっています。視点を変えて、市場で評価を得ている既存のソフトウェアに目を向けることで、ITの導入に対する垣根はずっと低くなっている、ということにお気付きになると思います。

生熊 従来の企業ITシステムでは、新しいものを導入するためには長い検証期間が必要でした。しかし、今はクラウド環境を利用すれば容易に試験的な運用ができます。また、ゴール自体が変化する現代に適した開発手法としてアジャイル開発があります。開発事例も増えてきており、有効性も広く理解されています。

マッキン IBMとしてもアジャイル開発の有効性をより広めるとともに、それを支援する環境を整えています。また、クラウドの活用も有効な手段です。自前主義から脱却してクラウドを選択することとアジャイル開発は、アプローチは異なりますが企業活動にスピード感を与えるという点では共通しています(参考事例)。

 導入事例を見ると、企業の規模に関係なく最新のテクノロジーにアクセスできるという現状を表しています。両者とも導入の垣根は大きく下がっていますから、これらを組合わせることで、より大きなメリットを期待できます。

情報を守る仕組みもソフトウェアで万全

浅井 セキュリティも克服すべき必須の課題となっていますが、情報に鍵を掛けて仕舞い込んでも意味がありません。ITや情報は活用されてこそ経営に貢献できるからです。企業はどのように対処すればいいのでしょうか。

生熊 かつては、データのアクセス権などは一度決めてしまえば10年間変更しなくても問題ありませんでした。しかし、現代は情報の価値の変化が早く、適切なセキュリティレベルも変わります。もちろん個々のデータのセキュリティを明確に設定することは重要です。しかし、データの量的増加と質的な変化が加速したため、すべてを定義するのは困難になっています。一方、ユーザーも、できるだけセキュリティを意識したくないものです。権限のないデータは、そもそもユーザーに見えないようにすることが情報漏えいを防ぎます。

マッキン これだけ増加したデータすべてのセキュリティ要件を管理するのは実質不可能になりつつあります。漏えいを前提に十全なログを取得するとともに、漏えいそのものが「起こらない」仕組みが必要です。データへのアクセスそのものを不可能にすれば、自ずと事故も起こりません。ユーザーと管理者、双方のメリットになります。

浅井 今後、インフラを中心にクラウド活用が盛んになり、企業の情報システムは、既存システムとの「ハイブリッド化」が進むとみられていますが、新たな課題も出てくるのではないでしょうか。

マッキン 効果的なハイブリッド環境を実現するためには、認証情報やアプリケーションの「連携」が必要となり、ミドルウェアの役割が重要になります。データは、外に出た場合でも悪用できないように暗号化できますし、そのデータへのアクセス時にはミドルウェアが制御します。このようにデータは多段的に防御されていますので、クラウドになるから危ない、ということはありません。

生熊 むしろクラウド利用時に気をつけるべきは、自社とクラウド事業者のセキュリティポリシーやSLAのギャップです。これは事前に十分確認しなければなりません。

「はじめの一歩」は難しくない

浅井 しかし、まだまだソフトウェアの積極的な活用に踏み出せない企業がたくさんあります。

生熊 IT自体をコアコンピタンスとする企業には、うまくITを活用しているところがしばしば見られます。また、海外でITをうまく使っている企業は、多くの日本企業に比べて新しいものをすぐに採用していきます。日本企業もトライしてみることが大事ですよね。それをリードできる立場にいるのが企業のIT部門です。これからIT部門にかけられる期待は大きくなっていくでしょう。

マッキン ソフトウェア活用の垣根は低くなっているにもかかわらず、まだまだ海外に比べると十分に活用されていないように思えます。IT部門の方から「はじめの一歩」が難しくないこと、また導入することの経営上での利点を経営層や業務部門に働きかけることで、状況は変わります。IBMではそのための安心材料をEnd-to-Endで提供していきます。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年12月31日


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