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» 2011年01月17日 08時00分 UPDATE

おせち問題にも言及:三方一両「徳」の心得が必要? 共同購入型クーポンサイトの仕掛け人に聞いた (1/2)

2010年末にかけて注目が高まり、おせち問題が世間をにぎわせた共同購入型クーポンというビジネスモデル。日本市場に根付くには、消費者の信頼確立が求められる。実質半年ほどでクーポン共同購入サイトを事業化したCooPaの大木社長に現状を聞いた。

[石森将文,ITmedia]

 2010年の後半から国内においても注目が高まりつつあったフラッシュマーケティング(共同購入型クーポン)という手法は、同年末に起こった“おせち問題”によって、良くも悪くも耳目を集めることとなった。「グルーポン型サービス」というように、業界1位の事業者であるグルーポンがサービスの代名詞として挙げられることが多いが、ぐるナビと提携し日本初を謳うPiku(ピク)や、リクルートが運営するポンパレを始め、2011年初頭の時点でおよそ200のサービスが国内で提供されており、国内のフラッシュマーケティング事業者は、生き残りをかけた戦国時代に突入しつつある。

 エリアごとに最適化したフリーペーパーの発行や、情報サイトの運営を手掛ける「ぱど」も、2010年8月に共同購入型クーポンサービスCooPa(クーパ)の提供を開始し、12月には中国のSNS大手、オーク・パシフィック・インタラクティブ(以下、OPI)の日本法人であるグミィと合弁会社を設立した。成長著しい分野でありながら、消費者保護という観点から問題も指摘されている同サービスの現状について、運営会社CooPaの代表取締役社長を務める大木隆太郎氏に話を聞いた。

インプレッション広告に代わるビジネスドメインを求め

ooki1.jpg CooPaの代表取締役を務める大木隆太郎氏

 大木氏がぱどに入社したのは、2010年1月1日のこと。それまでモバイルコンテンツを手掛けるインデックスやヤフーで勤務する中で、「バイラル(口コミ)の力の大きさを感じた。これはビジネスになると直感した」という大木氏がぱどに転職した理由は「バイラルの力を生かしたビジネスを起こすには、自社メディアを持っている企業が良いと考えたから」だという。ただし「テレビ局や出版社など、既存のメディアビジネスの枠組みが強い会社では、中核メンバーとして動くことは難しいだろうと考えた」。自社メディアを持ちつつ、自身のアイデアを汲み上げてくれる企業として大木氏が選択したのが、ぱどであったというわけだ。

 とはいえ大木氏は、始めからフラッシュマーケティングのビジネス化を念頭においていたわけではなかった。当初はソーシャルネットワークやeコマースに軸足を置いたビジネスを立ち上げる考えだったというが「インプレッション型広告をベースにした収益モデルの成長は鈍化しており、別のビジネスドメインを求める必要があった」と大木氏は話す。このような視点から海外のマーケットを調査する中で、米国で存在感を増していたグルーポンの存在を知ったのが2010年4月のこと。大木氏は「ぱどは1000万部のフリーペーパー発行部数と、地域に密着した情報収集力、そして500人に上る営業体制を備えている。これなら(共同購入型クーポンを)ビジネスとして成功させられると確信した」という。

 ビジネス化については経営陣の承認を得られた大木氏だったが、予算と期間にはかなりの制約があったという。そこで大木氏は、スピードを優先するため、既に共同購入型クーポンサービス「ミナワリ」を運営しているソラドのASPを借りる形で、8月5日にCooPaのサービスインに漕ぎ着けた。「無理なお願いを聞いてくれたソラドには頭が上がらない」と大木氏は振り返る。

 次の課題は運用体制と営業体制だ。とはいえ軌道に乗るかどうか分からないビジネスに、潤沢な経営資源が投下されるわけでもない。当面の運用は、当時Webディレクション室に所属していた桂巻亜矢子氏が担当した。また営業についても専属の組織を持てる段階ではなく、当時ぱどのトップ営業マンであった高柳大介氏が、本業に加えて兼務するという状況であった。

 とはいえ高柳氏は、ぱどの既存媒体もセールスしなければならない立場。CooPaだけにリソースを割くわけにはいかず、想定していた結果が出せない状況で「2010年秋には撤退を検討するまで追い詰められた」という。

 このような危機感を背景に大木氏は、自らCooPaをプロモーションするため、「テレビ局や新聞社に電話しまくった」と話す。ちょうどグルーポンの注目が高まった時期とも重なり、「各メディアに取り上げられて、CooPa自体のPVが大きく上がり、商品さえ入れば何とかなるという状況になった」。大木氏はぱどの経営陣に直接談判し、予算と人員の投下に加え、高柳氏のリソースをCooPaに集中できるようにしたという。「月間売上が一気に1000万円規模になった。高柳の働きも大きく、彼は体重を大きく減らしてまでCooPaに賭けて貢献してくれた」。

巧緻より拙速を求め事業化を図る

coopa.jpg 主婦層を想定してか、CooPaのサイトデザインはやや落ち着いた雰囲気

 ビジネスの軌道が見えてきたならば、クーポン提供エリアの拡大を図る必要がある。各地に拠点を持つぱどにとって、営業体制の横展開は見通しがつく。だがソラドの協力で利用していたASPは、エリアのスケールアウトを想定したものではなかった。大木氏は、大きな予算をかけて自前でシステムを開発するか、そうでなければスケールアウトを断念するかを迫られることとなった。

 グミィからのアプローチがあったのは、エリア拡大の壁に当たっていた、ちょうどその頃だったという。当時から大木氏のもとには、共同購入型クーポンについてビジネスの可能性を探る複数の企業から問い合わせがあったというが、グミィもその中の1社であった。最終的には合弁会社設立に至るこの出会いのきっかけは「グミィの山崎社長もヤフー出身。ビジネス観について話が合ったことが大きい」と大木氏は振り返る。

 グミィの親会社であるOPIは、中国で圧倒的なシェアを誇るSNSを運営するとともに、共同購入型クーポンを支えるWebシステムについても高い完成度の物を持っていたという。だが「システムはあっても、日本での営業力がまったくない状態」。ぱどが持つ営業力とグミィのシステムを合わせればシナジーが生まれ、「ウィンウィンの関係を築けると確信した」と大木氏は話す。

 ぱどの代表取締役である倉橋泰氏とグミィ代表の間で、合弁会社設立に向けた基本合意が締結されたのは2010年11月頭のこと。そこから新会社CooPaの設立が2010年12月1日というのだから、大木氏にとってぱどに入社した2010年はジェットコースターに乗ったような毎日であった。「共同購入型クーポンの事業で先行者利益を得るにはスピードが第一。通常の事業のように、1年かけて検討するようなことをしていては、完全にビジネスチャンスを失ってしまう」。大木氏は2011年のビジネス規模を「最低でも年商10億円。業界の3番手ないし4番手は見えている」と見込む。

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