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» 2011年02月21日 10時00分 UPDATE

クラウドと向き合うための勘所:グローバルビジネスとクラウド――ユーザーとベンダーが実践すべきモデル (1/2)

クラウドコンピューティングは、グローバル進出する日本企業のビジネスに貢献するものと期待されるが、具体的にはどのような点に注目すべきだろうか。「メディア横断企画 クラウド討論会2011」では、グローバルビジネスとクラウドとの関わりについての議論が行われた。

[合田雅人,ITmedia]

 アイ・ティ・アール(ITR)主催による「メディア横断企画 クラウド討論会2011」が1月下旬に行われた。主要IT系メディア(ITmedia/CNET Japan/TECH.ASCII.jp/ITLeaders/日経コンピュータ)のトップがクラウド時代と向き合うためのポイントについて活発な議論を交わした。

 ユーザー企業はクラウドに対する漠然とした不安を抱きつつも、ビジネスへの活用はもはや不可欠となっている。本特集の最後として、今回は日本企業が直面するグローバル化とクラウドの関わりについて取り上げたい。

cloudtouron.jpg

「質の変化」をキャッチアップせよ

 企業のグローバル展開において、クラウドをどのように活用していくかが非常に重要なテーマとなっている。討論会のモデレータを務めるITR シニア・アナリストの舘野真人氏は、本テーマについて次のような問題を提起した。

 「事前に行った企業関係者へのアンケートでは、“クラウド事業者に対してグローバル対応ができているかどうか”という点に一定の関心が集まっていた。今後、クラウドのユーザー企業の多くがこの問題に突き当たるようになるだろう」

zu04-01.jpg ネットワーク事業者選定における重視ポイント(出典:「クラウド討論会2011」事前アンケート、クリックで拡大)

 グローバルビジネスでクラウドを活用するには、どのような視点が求められるのだろうか。朝日インタラクティブ CNET Japan編集長の別井貴志氏は次のよう語った。

 「以前、パナソニックがIBM Lotus Liveを大規模導入したというニュースが話題になりました。30万近いユーザーが利用しますが、これを見てもグローバルで戦う企業にとってクラウドはもはや必須の存在です。実際にクラウドをグローバル利用しようとすると、ユーザー企業はさまざまな点を懸念します。例えば米国のデータセンターでFBIの捜査があり、全てのデータが捜査資料として持ち出されたといったことや、アジアのある国のデータセンターでは、ユーザーが気付かないうちに関係のないアプリケーションが混在していたということがあります。海外のデータセンターを利用する時には細心の注意を払う、ということが今後常識になるでしょう」

 このほかにも、データセンターがある国や地域の法令によって、さまざまな規制が課せられるような場合がある。だがグローバルビジネスでは、社員がどのような場所にいても適切に業務を遂行できる仕組みが求められる。グローバルビジネスではクラウドを多極化させる必要がある。パブリッククラウドであろうと、プライベートクラウドであろうと、クラウドのグローバル対応は必然の流れというわけだ。

 アイティメディア ITインダストリー編集統括部長の浅井英二氏は、ユーザーの事情について次のように話している。

 「ユーザー企業のCIOの会合で、例えば金融関係のCIOが海外でのIT活用に伴う法規制を話題にすることがあります。国ごとに異なる法律を守らなくてはならず、企業はさまざまな形で拘束されてしまうわけですね。今後、日本企業のグローバル化では質的な変化が見られるでしょう。データ管理のあり方など各国のルールを再確認しておく必要があります」

 舘野氏は浅井氏の見解を踏まえて、日本企業のグローバル化の質的変化について説明した。

 「これまでは生産拠点を海外に移設したり、現地の設備を買い取ったりするなどして、グローバルビジネスの基盤を構築し、そのオペレーションを現地スタッフに任せる仕組みでした。しかし、もうそれでは立ち行かない状況です。例えば欧米向けに製品を輸出するだけの機能だった中国の拠点が、ブラジルやロシア、オーストラリアの企業と商談を結んで、製品を輸出するといった動きが既に起きています。グローバルビジネスでのIT活用のあり方が変化しているのは当然のことでしょう」

zu04-02.jpg グローバル化がもたらす2つの変化(出典:ITR、クリックで拡大)
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