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» 2011年04月14日 11時30分 公開

こころの処方箋:元気になれない周りの人との関わり方――震災時のメンタルケア (1/2)

がんばっている人は、はげましよりもねぎらいの言葉を求めている――こころの疲れにそっと効くこころの処方箋、今回はあなたの周りの元気のない人々にどのように対応し、勇気付けたらいいのかお話します。

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),ITmedia]

 前回の記事では、自分のこころを大切にしよう――震災時のメンタルケアと題し、震災時における自分自身のメンタルケアについてお話しました。

 「自分のこころのバランス」の次に大切なこと、それは「周りの人の元気」です。これだけの大きな震災ですから、知人が被災したり、連日の報道を見て元気をなくした人が周りにいたりする方も多いでしょう。ちょっとした一言や関わりでそんな周りの人を元気付けることができたら、どれだけうれしいことでしょう。

 けれども実情は、被災された方に「お悔やみ申し上げます」「大変ですね、がんばってください」としか言えない……、元気のない仲間に「被災されている方はもっと大変なのだから、がんばらなくちゃだめだよ」と言ってしまった……、周りの人々を応援したいし、元気になってほしいのに、気の利いた関わり方ができない自分に、苛立ちを覚えている……、という方もいらっしゃるかもしれません。

 そこで今回は、被災されたり、元気をなくした周りの人々にどのように対応し、勇気付けたらいいのかについてお話します。

不安を癒し、元気付けるステップ

 不安やネガティブな気持ちを抱えているとき、「プラス思考が大切だ」とよく言われます。けれども不安が大きいときほど、直接的に「プラスに考えましょう」と言われても、なかなかできるものではありません。あなたが誰かの不安な気持ちを癒し、元気になるように導くためには、マイナスの気持ちをフラットに戻しながら、一歩踏み出せるようにする必要があります。

 「マイナスの気持ちをフラットに戻す」ためには、「話を聞く」「一体感を作る」、「一歩踏み出せるようにする」ためには、「ねぎらいと応援」「背中を押す」という関わり方が有効です。

話を聞く――不安は「話す」ことで「放す」ことができる

 「相手が大変なとき、どのように言葉をかけたらいいのだろう?」

 被災された知人や、ネガティブな気持ちを引きずっている同僚を目の前にしたとき、相手を思いやる気持ちがある人ほど、気の利いたアドバイスをしたいと願います。過去に似たような経験があれば、「私は○○を経験しましたので、その気持ち分かります。そのようなときには……」とアドバイスができますが、経験がなくてなんと声を掛けたらいいのか分からないという方もたくさんいらっしゃるでしょう。

 以前、私の先輩はこう教えてくれました。

 「不安を抱えたり、難局に立たされたりしている人を目の前にすると、何かアドバイスしなければと思うでしょう? だからといって、気の利いたアドバイスはなかなかできるものではないし、的確なアドバイスができるか否かを考えると不安になって、こっちもなかなか声を掛けづらいんだよね。でもね、不安を抱いている人の多くは、別にアドバイスが欲しいわけじゃないんだ。『とにかくこの思いを聞いてほしい』――ただそれだけなんだ。不安な気持ちを抱いている人がいたら、まず、話を全部聞いてほしい。人はね、不安な気持ちを言葉にして『話す』と、その気持ちを口から『放す』んだ。話をするだけで、ネガティブな気持ちが自然とフラットに戻ってくる。すべての人にフラットに戻す力が備わっているから、まずは、話を聞いてあげることから関わっていけば大丈夫だよ」

 これをお読みのあなたにも、これまで不安があったり、悩んだりしたことがあったと思います。そのときあなたは、まず、何をしてほしかったでしょうか。アドバイスが欲しかったでしょうか、それとも、何も言わずに、話を聞いてほしかったでしょうか。

 被災された方や、まわりの仲間の気持ちを癒したいと思うなら、まずは、ただ、話を聞いてさしあげてください。

一体感をつくる――あなたは一人じゃない

 「時間がたつにつれてテレビで報道されなくなっていき、『私たちのことを忘れられてしまうのではないか』という思いになるときが最も辛かったです」

 これは、阪神淡路大震災を経験された方の声です。震災一色だった情報が日常に戻りつつある今、東日本大震災・長野県北部地震で被災された方の中にも、このような声が聞こえはじめています。

 震災時に限らず、私たちが普段の生活の中で孤独感を味わうのは、存在を忘れられたり、認められなかったりするときではないでしょうか。けれども、非日常から日常に戻ってくると、私たちは無意識に「あっち(被災している人)」と「こっち(被災していない人)」を作ってしまいがちです。

 例えば、「大変ですね。がんばってください」という言葉を考えてみます。「がんばってね」は応援メッセージですが、何か「被災していない人」から「被災している人」へ、一方的に伝えている感じが残ります。

 では、一体感のある言葉とはどのようなものでしょう。例えば「一緒にがんばりましょう」。一体感が出てくる言葉ではないでしょうか。直接一緒にがんばる機会は少ないかもしれませんが、「あなたは一人じゃない」というメッセージを伝えられます。

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