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» 2011年11月11日 11時45分 UPDATE

医師たちのワークショップに参加してみた:iPadで内科問診票システムは作れるか? (1/2)

診察前に症状などを患者が記入する問診票。それを電子化したらどうなるのか。医療従事者たちのグループが、iPadを用いた電子問診票システムの勉強会を開催した。

[岡田靖,ITmedia]

 膨大な知識や技術、そして深い経験が要求されるだけでなく、さまざまな法令に制約され、膨大な書類を作成したり、無数の資料に目を通したりしなければならないのが、医師を中心とした医療関係者の業務だ。技術の進歩は著しく、また制度改正も頻繁な中で、その業務を効率化していくためには、医療機関のシステムが大きな役割を担う。

 しかし、そのシステムをITベンダーに頼っていては、ベンダー側の医療業務知識がネックになりかねず、またコストも高くつきがちだ。さらに、システムを途中で改修するのも難しい。そこで拡大しているのが、医療関係者が自らの手でシステムを作り、運用しながら改善を繰り返していく、いわゆるエンドユーザーコンピューティング(EUC)の動きである。日本ユーザーメード医療IT研究会(Japanese Society for User-Made Medical IT System、略称J-SUMMITS)も、こうした動きを主導する団体の1つだ。

患者自身がiPadで入力できるようにするための課題

fm1.jpg ジェネコムの代表取締役 高岡幸生氏。同社はFileMakerによるシステム構築に多くの実績を持つ

 この10月には、J-SUMMITSの主催により、iPadとFileMaker Goを用いた問診票システムについてのワークショップが開催された。講師を務めたのはジェネコムの代表取締役 高岡幸生氏である。

 問診票は診察に先立って患者自身、または付き添い人などが記入するため、長らく紙の帳票が用いられてきた。つまり、システム化が遅れている分野といえる。

 iPadとFileMaker Go、そして病院内の無線LANとFileMaker Serverを組み合わせれば、手軽に使える入力端末が実現できそうだ。しかし、実際にシステムの端末を不特定多数のユーザーに使ってもらうには、さまざまな配慮が必要となる。ITに不慣れなユーザー、身体に不自由のあるユーザーなどにも使えるよう、工夫を凝らしていかねばならない。

 最大のポイントは、画面上の項目の数だ。紙の問診票のイメージをそのまま画面に作り込んでしまうと、iPadの画面上では小さな文字がぎっしりと並ぶことになってしまう。ITに苦手意識を持つユーザーは、その画面を見ただけで戸惑ってしまうことだろう。「せっかく病院に来たのに、もっと調子が悪くなってしまう」と思われてしまうかもしれない。これでは医療機関として、サービス品質の問題になってしまう。

 そこで高岡氏は、入力すべき内容を細かく分け、タブで画面を遷移させるなどして一つずつ入力を促すような画面構成を提案する。

 「文字サイズも、使う人をきちんと把握して考慮していかないといけない。PC画面だと10ポイントなど小さな文字を使ってしまいがちだが、iPadでは入力しづらいので20ポイント以上の大きな文字を使うとよい。ここに示した画面例では48ポイントなどに設定し、誰でも即座に認識できるようにした」(高岡氏)

 また、文字入力の場面で画面下部に現れるソフトウェアキーボードをどのように扱うのかという問題もある。高岡氏は「いかに入力を簡略化させるかが重要。ソフトウェアキーボードが出てくると使いにくくなるので、基本的には文字入力をさせず、画面上に用意したボタンを押して入力するようにするのが望ましい」と話す。

fm2.jpg FileMaker上で作られた入力ボタン

 そしてFileMakerのスクリプトを使ったボタンの例を示した。それぞれのボタンを押すと、データベース上の適切なフィールドにボタンの内容が入力されるようにしてある。選択されたボタンの色を「条件付き書式」で変えるなどして画面上で把握できるようにしたり、選んだ内容に応じて次の画面に表示される内容を動的に変えたりするなど、細かな作り込みが使い勝手を高めるという。

 ボタンの他にも、リストから選択するような方法でキーボード不要とする方法もある。体温の入力などは、0.1℃刻みで広い数字範囲をカバーしなければならないことから、ボタン入力では画面一杯に数字が並んでしまい、ユーザーも適切な数字を選ぶのが大変だ。

 「このリストからの選択には、レイアウト画面の『コントロールスタイル』から『ポップアップメニュー』を選ぶとよい。同じような選択方法として『ドロップダウンリスト』もあるが、こちらはスクロールバーがつき、ソフトウェアキーボードも一緒に出てきてしまう」(高岡氏)

 一方、どうしても文字入力が必要となる項目もある。自由記述をする部分だ。この場合、ソフトウェアキーボードの存在を前提とした画面構成を作るのが望ましいと高岡氏は説明する。

 「ここは、キーボード部分の大きさを念頭に置いてフィールドのサイズと配置位置を決めておくこと」(高岡氏)

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