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» 2011年11月26日 08時00分 UPDATE

萩原栄幸が斬る! IT時事刻々:数字や用語の意味を知る――地震災害編 (1/3)

本コラムで6月に「数字や用語の意味を知る(原発事故編)」を掲載したが、今回はその続きとして「地震災害編」を取り上げたい。

[萩原栄幸,ITmedia]

 読者の一部の方から、「以前に『数字や用語の意味を知る(原発事故編)』を掲載しているが、その続きはどうなっているのか」との問い合わせがあった。その続きを掲載するつもりでいたが、タイミングを逸していたので、今回はその続きである「地震災害編」として解説してみたい。

前回の補足

 原発事故編ではいくつか記載が足りない部分があった。多くは枝葉末節なことなので省略するが、1つだけお伝えしておきたい。それは「内部被ばく」と「外部被ばく」である。今でも東京電力福島第一原発の敷地内には、報道によれば約3000人の方々が作業をしている。先日、報道機関が初めてその内部を放映して、被害の深刻さを改めて感じた方も多いだろう。作業に従事される方は皆、被ばく量を気にしながら白い「放射線防護服」をまとっている。

 この「放射線防護服」だが、どのくらい効果があるのだろうか。筆者も専門家ではなく、事故現場に視察を行っていないので分からないところもあるが、ビデオを見る限り、そして、筆者が防護服の性能を知る限りでは、実は放射線そのものを防御する力がほとんどない。一部の特殊防護服は、中に鉛が入っているが、それでも気休め程度である。

 白い「防護服」の目的は、空気中に飛散しているチリや細かな粉塵が人体に触れたり、体内に取り込まれたりするのを防ぐことである。つまり、「内部被ばく」を限りなくゼロに近付ける効果がある。今の事故現場を想像するに、この白い「防護服」は必須なのだろう。

 しかし、仮に水素爆発など何らかの原因で強い放射線を浴びてしまう事態が起きたら、ひとたまりもない。放射線自体は、人体をそのまま通過してしまう(正確にはα線は紙1枚で遮蔽できるが、γ線なら50センチのコンクリートや10センチの鉛でないと遮蔽できない)。現場作業はかくも脆弱な状況の中で行われている。直接放射線を浴びることになるので、カウンターを常に意識しながら作業を行い、危険な被ばく量なら現場から離れないといけないのだ。実に大変なことだと思う。

マグニチュード

 さて本題に入りたい。マグニチュードとは、日本の地震学者、和達清夫氏が最大震度と震央までの距離を書き込んだ資料をヒントに、米国の地震学者のチャールズ・リヒター氏が考案したものとされる。諸外国では「リヒター・スケール」と呼ばれている。

 日本では気象庁が発表している。実は、このマグニチュードとは1種類ではなく何十種類もある。その中で世間に発表されているのが、「気象庁マグニチュード」と呼ばれる種類である。計算式は多少複雑なので省略するが、この数値が日本での公式の数値として採用されている。さらに余談だが、この「気象庁マグニチュード」自体は、2003年9月24日まで「旧計算式」で算定され、以降は現在の「新計算式」で求められていることも知っておいた方がいいだろう。

 例えば、東日本大震災はマグニチュード9.0と発表されている。ただ、この数値は指数換算であることに注意してほしい。実際のエネルギーの数値としては、「J(ジュール)」の方が分かりやすいだろう。定義自体は、「1N(ニュートン)の力が、力の方向に物体を1メートル動かすときの仕事量」と、さらに分かりにくいかもしれないが、カロリー換算では「1J=0.239cal」となる。男性の1日の摂取カロリーが2000kcalで「8.4×106J」だ。

 こうしてマグニチュードをみてみると、次のようになる(Wikipedia「マグニチュード」から抜粋)。

  • マグニチュード6.0のエネルギー 63 × 1012J
  • マグニチュード7.0のエネルギー  2 × 1015J
  • マグニチュード8.0のエネルギー 63 × 1015J
  • マグニチュード9.0のエネルギー  2 × 1018J

 マグニチュード6.0なら、成人男性の約750万人が生活するのに必要なエネルギーが一瞬で消費されたことになる。これがマグニチュード6.0である。実にすごいエネルギーだと理解できるのではないだろうか。そして、もっと驚くべきことに、マグニチュードの数値は指数換算なので、数値がたった2つ違うだけでエネルギー量が1000倍も違うのだ。

 マグニチュード6と8では1000倍違う。7と9でも1000倍違う。今回の東日本大震災はマグニチュード9.0と認定された。ということは、先ほどの例にあるマグニチュード6のエネルギーが成人男性の約750万人の1日の消費量とほぼ同じであることから、上記の計算式に基づくと、その約3万1750倍、つまり2381億人もの成人男性の1日の消費量が一瞬で消費されたことになる。

 広島に投下された原爆と比較すると、資料によれば広島に投下された原爆の全放出エネルギーは、推定約60TJ(テラジュール:60×1012J)だ。東日本大震災の全エネルギーは、広島型原爆の約3万3000個分ということになる(筆者が手計算したものなので間違いがあればご指摘いただきたい)。

 世界で最大の地震は、過去の地質調査でも実測でも1960年に起きた「チリ地震」とされる。太平洋を横断して日本にも大きな津波の被害をもたらしたものだ。発生した地震波は地球を3周した。それがマグニチュード9.5である。エネルギー量は実に「11×1018J」と、東日本大震災のさらに5.5倍もの超巨大なエネルギーであった。

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