Mozilla、「Firefox 9」の正式版をリリース 「型推論」技術で45%高速に

ユーザーインタフェース関連の変更はないが、JavaScriptエンジンに型推論技術を導入することで前版より最大45%高速化した。【UPDATE】

» 2011年12月21日 09時49分 公開
[鈴木聖子, 佐藤由紀子,ITmedia]

 Mozilla Foundationは12月20日(現地時間)、Webブラウザの最新版となる「Firefox 9」をリリースした。予定通り、前回のアップデートから6週間後になった。

 JavaScriptエンジンに型推論(Type Inference)と呼ばれる技術を導入し、Firefox 8に比べて最大で45%、Firefox 3.6に比べれば最大10倍高速化したという。型推論とは、プログラムのコード解析と実行時の変数型監視を組み合わせて、JavaScriptプログラムの型情報を得る機能。型推論を利用したコンパイルモードでは、KrakenやV8といった主要なベンチマークでは30%以上高速化され、JavaScript処理の重いWebサイトで大きな高速化が期待されるとしている。

 この他には、HTML5、MathML、CSSなどの標準対応を改善し、安定性関連などのバグを多数修正した。Mac版では、「OS X Lion」でのテーマ統合を改善し、2本指スワイプナビゲーションを追加した。

 Mozillaのセキュリティアドバイザリーによると、Firefox 9では計6件の脆弱性に対処した。重要度の区分けは、最も高い「最高」が6件のうち4件を占め、「高」と「中」が各1件となっている。

 重要度が高い脆弱性は、「video要素を極端なサイズに拡大した場合に生じるクラッシュ」「nsSVGValueの境界外メモリへのアクセス問題」「YARR正規表現ライブラリにおけるクラッシュ問題」「各種のメモリ安全性の問題」の4件。いずれも悪用された場合、ユーザーが特別な操作をしなくても任意のコードを実行されたり、ソフトウェアをインストールされたりする恐れがある。

 また、Firefox 3.6のセキュリティ問題解決を主眼とする「Firefox 3.6.25」も同時にリリースされた。.jarファイルが実行可能ファイルとして処理されず、アプリケーションとして処理されてしまうMac版固有の脆弱性が修正されている。この問題も重要度「最高」となっている。

 デスクトップ版の公開から数時間後、Android版のバージョン9もダウンロードが可能になった。Android版では、タブレット向けの新ユーザーインタフェースと機能が追加され、起動時間が短縮されたほか、Web開発者向けにカメラ入力対応、HTML5フォームのバリデーション(入力値チェック)が追加された。

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