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» 2012年03月06日 08時00分 UPDATE

Gartner Enterprise Application Summit Report:基幹業務アプリケーションのトレンドと未来像 (1/2)

企業の基幹業務を支える「エンタープライズアプリケーション」に変化の波が訪れようとしている。そのトレンドと将来の姿をGartnerのアナリストが語った。

[國谷武史,ITmedia]

 企業の基幹業務を支える「エンタープライズアプリケーション」をテーマにしたガートナー ジャパンのカンファレンス「Gartner Enterprise Application Summit」が、このほど都内で初めて開催された。企業のグローバル化やITのコンシューマ化を背景に、エンタープライズアプリケーションの世界は変革の時期に差し掛かりつつあるという。

 基調講演ではガートナー リサーチ リサーチ ディレクターの本好宏次氏、米Gartner マネージング バイス プレジデントのデニス・ゴーハン氏が、エンタープライズアプリケーションのトレンドと未来像を語った。

IT部門が取るべきアプリケーション戦略

gartner01.jpg ガートナー ジャパン リサーチ ディレクター 本好宏次氏

 本好氏のセッション「グローバル時代の次世代アプリケーション像」ではアプリケーション活用のあり方を見直すべきという提言がなされた。企業の国際化が大企業だけでなく、内需重視型の企業や中堅・中小企業にとっても避けて通れないものになり、これに呼応するユーザー企業の動きが始まっている。

 本好氏は、まずトーマス・フリードマンの「フラット化する世界」を引用して現代はグローバル化の第3フェーズにあると説明した。流通基盤や通信網の発展に加え、スマートフォンに代表されるモバイル技術やSNSに代表されるソーシャル技術、クラウド技術が、新興国の台頭や中小規模企業の海外展開を後押ししている。「企業のグローバル化」というフレーズは従来、大企業だけのものというとらえ方がされてきたが、既にあらゆる企業に共通するものとなった。

 企業を取り巻く経営環境において、エンタープライズアプリケーションの代表ともいえるERPにも変革の波が訪れようとしている。本好氏によれば、現在のERPはユーザーが抱くコストや生産性、使いやすさといったニーズに応えきれていないという。

 例えば、コスト面ではパッケージ活用による開発・運用コストの削減などが期待されるが、実際には業務部門などの要求を取り入れていくことでカスタマイズ対応が増え、コストが膨らむ。「提案書の段階で70%をパッケージで済ませたいとしても、テスト段階では45%にまで縮小する。死守すべきラインは最低でも50%」(本好氏)

 またカスタマイズの拡大は、パッケージ活用によるメリットも影響する。「業務改革の実現には標準化されたプロセスを取り入れることが重要。カスタマイズが必要な部分とパッケージ化すべき部分を切り分け、双方をうまく組み合わせていくべき」(本好氏)という。

 操作性に関して、現在のEPRはPCでの操作を前提していると指摘する。上述のITのコンシューマ化の動きは特にこの部分で顕著であり、モバイル対応やソーシャル機能をERPが取り入れることで、複雑な使い方や“重い”レスポンスが改善されつつある。

 こうしたERPを取り巻く現状は、「共通化・標準化」「適材適所」「人材活用」の3つのキーワードで紐解くことができる。「共通化・標準化」は新興国市場などでの事業基盤を早期に確立することを目的にテンプレートを活用するもの。花王やカシオ計算機の事例が当てはまるという。

 「適材適所」とは、部分的に同一ベンダーの他の製品、もしくは他社ベンダーの製品を組み合わせて利用する手法。例えば、本社では大規模ERPを使用し、拠点では同一ベンダーか他社ベンダーの小規模向けERP、さらにはクラウドサービスを使用するといった具合で、「2層ERP」とも呼ばれる。

 「人材活用」では「タレントマネジメント」という社内の優秀な人材を発掘したり、その人材の能力を高めたりする仕組みが注目を集める。独SAPがタレントマネジメントをSaaS提供するSuccessFactorsを買収するなど、ERPに新たな人事システム機能を連携する動きが始まっている。

 さらにエンタープライズアプリケーションの将来としては、ERPをスイートではなく必要な機能だけを抽出・再構築してサービスとして提供したり、必要なアプリケーションをユーザーがセルフサービスで自ら選択したりするといった動きが現れると予想される。

 本好氏によれば、こうしたトレンドの本格化と将来予想される動向が具現化する時期は、5〜10年先だという。「今はまだ黎明期にあり、期待と諦めの時期を経て普及期に入っていく。一連の動きに注目しつつ、メリハリがある“攻め”の戦略を展開できるよう取り組むべきだ」と指摘している。

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